事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿一丁目15番5 カテリーナ新宿御苑駅前802号

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

ブログ 2020年9月25日

     

<「法人版事業承継税制」について>

 

 令和277日に国税庁資産課税課より、「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除の特例措置等に関する質疑応答事例について(情報)」が公表されました。全部で114の質問項目があり、延べ182頁にもわたるものです。特例措置に関する項目が中心ではありますが、中には一般措置との適用関係に関する項目も記載されています。

そこで、改めて法人版事業承継税制の特例措置と一般措置の違いを触れた上で、贈与税および相続税のそれぞれの適用要件を中心に確認していきます。

※参考URL https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sozoku/pdf/0020007-054_02.pdf

 

(1)概要

 法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「円滑化法」という)」の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。

この法人版事業承継税制には、「一般措置」と「特例措置」の2つの制度があり、特

例措置については、事前の特例承継計画の策定等や10年以内の贈与・相続等といった適用期限が設けられていますが、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引上げ(80%から100%)がされているなどの違いがあります。
     

(2)非上場株式等についての贈与税の納税猶予の主な適用要件

①会社の主な要件

次の会社のいずれにも該当しないこと

⑴ 上場会社

⑵ 中小企業者に該当しない会社

⑶ 風俗営業会社

⑷ 資産管理会社(一定の要件を満たすものを除く。)

②後継者である受贈者の主な要件

贈与の時において、

⑴ 会社の代表権を有していること

⑵ 20歳以上であること

⑶ 役員の就任から3年以上を経過していること

⑷ 後継者及び後継者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権

数を保有することとなること

⑸ 後継者の有する議決権数が、次のイ又はロに該当すること(特例措置)

イ 後継者が1人の場合は、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く。)の中で最も多くの議決権数を保有することとなること

ロ 後継者が2人又は3人の場合は、総議決権数の10%以上の議決権数を保

有し、かつ、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く。)の中で最も

多くの議決権数を保有することとなること

③先代経営者等である贈与者の主な要件

⑴ 会社の代表権を有していたこと

⑵ 贈与の直前において、贈与者及び贈与者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと

⑶ 贈与時において、会社の代表権を有していないこと

④担保提供

納税が猶予される贈与税額及び利子税の額に見合う担保を税務署に提供する必要があります。ただし、この制度の適用を受ける非上場株式等の全てを担保として提供した場合には、納税が猶予される贈与税額及び利子税の額に見合う担保の提供があったものとみなされます。

⑤取得株数要件(特例措置)

後継者は、次の⑴又は⑵の区分に応じた一定数以上の非上場株式等を取得する必要があります。

⑴ 後継者が1人の場合

次の①又は②の区分に応じた株数

① a× 2/3 -cの場合・・・「b × 2/3 -c」以上の株数

② a<b× 2/3 -cの場合・・・「a」の全ての株数

⑵ 後継者が2人又は3人の場合

次の全てを満たす株数

① d×1/10

② d>贈与後における先代経営者等の有する会社の非上場株式等の数

a:贈与の直前において先代経営者等が有していた会社の非上場株式等の数

b:贈与の直前の会社の発行済株式等の総数

c:後継者が贈与の直前において有していた会社の非上場株式等の数

d:贈与後における後継者の有する会社の非上場株式等の数

(3)非上場株式等についての相続税の納税猶予の主な適用要件

①会社の主な要件

次の会社のいずれにも該当しないこと

⑴ 上場会社

⑵ 中小企業者に該当しない会社

⑶ 風俗営業会社

⑷ 資産管理会社(一定の要件を満たすものを除く。)

②後継者である相続人等の主な要件

⑴ 相続開始の日の翌日から5か月を経過する日において会社の代表権を有して

いること

⑵ 相続開始の時において、後継者及び後継者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有することとなること

⑶ 相続開始の時において後継者が有する議決権数が、次のイ又はロに該当すること(特例措置)

イ 後継者が1人の場合は、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く。)の中で最も多くの議決権数を保有することとなること

ロ 後継者が2人又は3人の場合は、総議決権数の10%以上の議決権数を保有し、かつ、後継者と特別の関係がある者(他の後継者を除く。)の中で最も多くの議決権数を保有することとなること

⑷ 相続開始の直前において、会社の役員であること(被相続人が60歳未満で死亡した場合を除く。)

③先代経営者等である被相続人の主な要件

⑴ 会社の代表権を有していたこと

⑵ 相続開始直前において、被相続人及び被相続人と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと

④担保提供

納税が猶予される相続税額及び利子税の額に見合う担保を税務署に提供する必要があります。ただし、この制度の適用を受ける非上場株式等の全てを担保として提供した場合には、納税が猶予される相続税額及び利子税の額に見合う担保の提供があったものとみなされます。

(4)まとめ

 法人版事業承継税制は、あくまで納税の猶予制度であり免除制度ではありません。したがって、納税の猶予を継続するためには、贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予に切り替える必要があります。その逆もまた同様です。したがって、上記(2)および(3)のとおり、適用要件が極めて類似しています。

 また、特例措置は令和9年1231日までの贈与及び相続等に限られ、その特例措置を受けるための都道府県へ提出する特例承継計画は令和5年3月31日までに行う必要があります。

 取引相場のない株式(自社株式)の評価額がどの程度の金額か、まずは概算した上で、本制度を適用するかどうかを慎重に見極める必要があります。

以上

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