| 事務所名 | 分銅会計事務所 |
|---|---|
| 所長名 | 代表税理士 分銅雅一 (登録番号第123843号) |
| 所在地 | 〒160-0022 |
| 電話番号 | 03-6380-1093 |
| FAX番号 | 03-6380-1094 |
| 業務内容 | 自社株式と不動産の承継に関連する 1.相続税・譲渡所得税の税務申告 2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援 3.個人及び法人の税務顧問 4.セミナー及び研修の講師 |
| 適格請求書発行事業者登録番号 |
<「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」について>
令和8年4月16日に国税庁ウェブサイトにおいて、「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の開催についての案内がされて、既に5回もの有識者会議が開催されています。このような中、第5回有識者会議が令和8年8月20日に開催され、本執筆時点においては、まだ議事要旨が公表されていませんが、先行して資料のみ掲載されています。この資料の中で、国税庁として今後、取引相場のない株式の評価をどのように行っていきたいか、通達改正内容の骨子の案が掲載されています。
そもそも、取引相場のない株式の評価は、同族株主等と同族株主等以外が取得するかにより分かれ、同族株主等については、会社規模別に「類似業種比準方式」や「純資産価額方式」を併用する方式が採られています。「類似業種比準方式」は、同業種の上場企業の株価を用い、対象会社の「配当」「利益」「純資産(簿価純資産)」を加味して評価を行う方式です。これに対して「純資産価額方式」は、対象会社の貸借対照表を基に、課税時期における時価(相続税法上の時価)に評価替えを行い、評価を行う方式です。評価替え対象となる資産は一般的に土地や建物といった不動産や事業保険(損金に算入されない保険料部分)が多いです。
従来、これらの方式に従い、評価を行ってきた中で、評価方式間におけるかい離により、異なる規模の企業間の不公平と租税回避スキームが横行していました。新たな提言として出ているのが、規模別の区分を廃止し、広範の企業を共通の評価方式で評価することが考えられるかどうかについてです。
特に評価方式において、継続企業に対して、解散を前提とした時価純資産価額で評価すべきではなく、継続を前提として「簿価」を用いるべきではないか、類似業種比準方式は理論的な根拠や実証的な裏付けがなく、他分野における企業価値評価では用いられないのではないか、上場企業の縮尺モデルを小会社に適用することが妥当といえるのかどうか、企業の収益力を企業価値の要素として重視するインカムアプローチによる評価を検討すべきではないかといった議論がされています。
インカムアブローチについては、有識者会議の資料として下記3点が紹介されています。

これら3つのアプローチの中で、最も合理的な評価方式が「残余利益方式」ではないかという提言がされています。この「残余利益方式」によると、「簿価純資産」に「数年分の超過利益」を加算した金額をもって評価額とする考え方です。これを図示したものが資料においても紹介されています。


新しい評価方式として、上記図示したような方向になるかどうかは、執筆時点においては確定していませんが、今後、取引相場のない株式の評価が大きく変わる可能性は極めて高い状況となっています。
また、取引相場のない株式については、事業承継税制の特例措置も存在しますが、この特例措置も令和9年12月31日までの相続または贈与が対象となっています。
例年12月中旬から下旬にかけて公表される税制改正大綱(令和9年度税制改正大綱)において、この取引相場のない株式の評価や事業承継税制の措置が盛り込まれる可能性があり、12月にかけて、様々なニュースが発信されることが予想されます。日本経済新聞一面にも8月20日、8月23日と立て続けに掲載されています。今後の改正に備えて、現状の株価評価を行い、現行制度において対策を行うか、新しい制度の下で対策を行うかを検討していくことが肝要です。