事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

ブログ 2026年9月25日

<第6回取引相場のない株式の評価に関する有識者会議について>

 

令和8年4月16日、国税庁ウェブサイトに、「『取引相場のない株式の評価に関する有識者会議』の開催について」の案内が掲載され、9月16日に第6回資料も掲載されました。

この有識者会議は、取引相場のない株式の相続税評価について、令和6年11月に会計検査院検査報告において、各評価方式の間で評価額にかい離が生じており、類似業種比準価額を適用する割合が高い規模の大きな会社ほど、株式の評価額が相対的に低く算定されること、また、配当還元方式の還元率が、近年の金利の水準と比べて相対的に高い率となっているおそれがあること等から、評価制度の在り方について、「異なる規模の会社間での公平性や社会経済の変化を考慮し、より適切なものとなるよう検討を行っていくことが肝要」との指摘を受けたところによるものとしています。検査院の指摘をふまえ、取引相場のない株式の相続税評価について、相続税法の時価主義の下、適正な評価制度の在り方を検討するために有識者会議が、月1回ペースで開催されてきています。

第1回の会議において、会計検査院による指摘事項や課題などが挙げられ、第2回・第3回の会議において、有識者会議の各委員から、それぞれの分野による発表がありました。第4回においては、検討事項を再度整理したうえで、8月20日に第5回資料が掲載されました。

第5回の資料において、国税庁案が提示され、日経一面に掲載されるなど大きなニュースになりました。

具体的に、国税庁から提示された案は、継続企業の前提の下、簿価純資産をベースとしつつ、企業の収益を反映した残余利益方式(企業の①保有資産(簿価純資産)と②収益獲得能力から評価額を算出する方式)を採用した場合の評価方法が良いのではないかということです。これを図示すると以下のようになります。

※国税庁ウェブサイト https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260820/pdf/05shiryo_kabukaigi.pdf  参照

 

 また、これらの数値が決算書のどこの部分からのものかも示されています。

※国税庁ウェブサイト https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260820/pdf/05shiryo_kabukaigi.pdf  参照

 

以上のように、第5回の有識者会議資料においては、会計上の決算書を元にした数値を利用する案の内容でしたが、第6回の有識者会議資料において、いわゆる税務上(法人税法上)の①簿価純資産と②当期純利益を適用すべく修正案が提示されました。

※国税庁ウェブサイト https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260916/pdf/06shiryo_kabukaigi.pdf 参照

 

会計上の①簿価純資産、②当期純利益であっても、税務上の①簿価純資産、②当期純利益であっても、従来の「類似業種比準価額」や「純資産価額」とは大きく異なる方法です。

まず、従来の「類似業種比準価額」は、国税庁案では廃止の方向で検討していることが読み取れます。その理由として、類似業種比準価額は理論的な根拠や実証的な裏付けがなく、他分野における企業価値評価では用いられていません。また、上場企業の縮尺モデルを小会社に適用することが妥当といえるのか、などが挙げられています。

また、「純資産価額」は、いわゆる相続税法上の時価純資産価額を用いて算出されるものですが、継続企業に対して、解散を前提とした時価純資産価額で評価すべきではないのではないかとの指摘が挙げられています。

今後は、この第5回、第6回の有識者会議をもとに細かい部分を詰めていくと予想されます。これらの内容を令和9年度の税制改正大綱に盛り込まれることが予想されます。

一方で、取引相場のない株式については、いわゆる法人版特例事業承継税制についても令和9年12月31日までが特例措置の適用期間となっており、併せて改正の議論がされるのではと期待されます。取引相場のない株式の評価の見直しについては今後、年末にかけてとりわけ注視していくことが肝要です。