| 事務所名 | 分銅会計事務所 |
|---|---|
| 所長名 | 代表税理士 分銅雅一 (登録番号第123843号) |
| 所在地 | 〒160-0022 |
| 電話番号 | 03-6380-1093 |
| FAX番号 | 03-6380-1094 |
| 業務内容 | 自社株式と不動産の承継に関連する 1.相続税・譲渡所得税の税務申告 2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援 3.個人及び法人の税務顧問 4.セミナー及び研修の講師 |
| 適格請求書発行事業者登録番号 |
〈令和6年度税制改正大綱(子育て支援関係)について〉
令和5年12月14日、自由民主党および公明党から「令和6年度税制改正大綱」が公表されました。今回は、税制改正大綱の中から、「子育て支援に関する政策税制」を中心に紹介していきます。
この「子育て支援に関する政策税制」については、大綱の中で、「子育て世帯は、安全・快適な住宅の確保や、こどもを扶養する者に万が一のことがあった際のリスクへの備えなど、様々なニーズを抱えており、子育て支援を進めるためには、税制においてこうしたニーズを踏まえた措置を講じていく必要がある。」としています。そして、以下の①から③について、「6.扶養控除等の見直し」と併せて行う子育て支援税制として、令和7年度税制改正において以下の方向性で検討し、結論を得るとしています。
①
子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
②
子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充
③
子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充
このうち、「①及び②については、現下の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ、令和6年限りの措置として先行的に対応する。」としています。
今回は、この①から③について紹介していきます。
(1)子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
住宅ローン控除については、令和5年度税制改正においても改正がされていますが、以下の図の赤字部分について、新たな措置が設けられる予定です。
※国土交通省ウェブサイト「https://www.mlit.go.jp/page/content/001712685.pdf」参照
大綱によると、子育て世帯及び若者夫婦世帯における借入限度額について、子育て支援の観点からの上乗せを行うとしています。具体的には、新築等の認定住宅については500万円、新築等のZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅については1,000万円の借入限度額の上乗せ措置を講ずるとしています。
また、子育て世帯においては、住宅取得において駅近等の利便性がより重視されること等を踏まえ、新築住宅の床面積要件について合計所得金額1,000万円以下の者に限り40㎡に緩和するとしています。
なお、所得税額から控除しきれない額については、現行制度と同じ控除限度額の範囲内で個人住民税額から控除するとしています。
(2)子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充
既存住宅のリフォームに係る特例措置について、子育て世代の居住環境の改善の観点から、子育て世帯及び若者夫婦世帯が行う一定の子育て対応改修工事を対象に加えるとしています。
(3)子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充
所得税において、生命保険料控除における新生命保険料に係る一般枠(遺族保証)について、23歳未満の扶養親族を有する場合には、現行の4万円の適用限度額に対して2万円の上乗せ措置を講ずることとするとしています。
なお、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額については、実際の適用控除額の平均が限度額を大きく下回っている実態を踏まえ、現行の12万円から変更しないとしています。
また、一時払生命保険については、既に資産を一定程度保有している者が利用していると考えられ、万が一のリスクへの備えに対する自助努力への支援という本制度の趣旨と合致しないことから、これを控除の適用対象から除外するとしています。
以上を図示したものが、金融庁の税制改正要望において下記のとおり紹介されています。
※金融庁ウェブサイト「https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/01.pdf」参照
この(3)の措置は、上記(1)および(2)の措置と異なり、令和6年度税制改正大綱の「6.扶養控除等の見直し」と併せて行う子育て支援税制として、令和7年度税制改正においてさらに検討を加え、結論を得るとしています。
以上、確認してきたように、住宅税制としての(1)および(2)の措置は先行的に対応するとされていることから、来年の税制改正法案として成立する可能性が高いです。既存の住宅ローン控除制度と併せて確認してください。
計算明細書」(計算ツール)について〉
令和6年11月30日、国税庁のウェブサイトに「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」(計算ツール)についてと、「居住用の区分所有財産」の評価のあらましが公表されました。
この居住用の区分所有財産の評価の取扱いについては、令和6年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した「居住用の区分所有財産」(いわゆる分譲マンション)の価額を、新たに定められた個別通達(令和5年9月28日付課評2-74ほか1課共同「居住用の区分所有財産の評価について」(法令解釈通達))により評価するというものです。
具体的には、下記の算式によって計算することになります。
※国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023011-040_01.pdf」参照
なお、居住用の区分所有財産が貸家及び貸家建付地である場合のその貸家及び貸家建
付地の評価並びに小規模宅地等の特例の適用については、この個別通達の適用後の価額
(上記①及び②の価額)を基に行うこととなります。
上記算式の「区分所有補正率」については、「1
評価乖離率」、「2
評価水準」、「3
区分
所有補正率」の順に、以下のとおり計算します。
※国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023011-040_01.pdf」参照
このように、「区分所有補正率」の計算が大変複雑な計算となるため、今後、居住用の区
分所有財産の評価に際しては、「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細
書」を添付するような措置が講じられています。
この明細書は通常PDF形式で提供されるが、今回、エクセル形式でも提供されている点が特
徴的で、このエクセルに上記に該当する情報を入力すれば、評価できるようになっています。
⇒居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書(令和6年1月1日以降用)【計算ツール】(Excelファイル/25KB)
国税庁ウェブサイト
「https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hyoka/annai/1470-17.htm」参照
なお、この「居住用の区分所有財産の評価」については、下記のような場合は対象外となります。
Ø 構造上、主として居住の用途に供することができるもの以外のもの(事業用のテナント物件
など)
Ø 区分建物の登記がされていないもの(一棟所有の賃貸マンションなど)
Ø 地階(登記簿上「地下」と記載されているものを言います。以下同じ。)を除く総階数が2
以下のもの(総階数2以下の低層の集合住宅など)
Ø 一棟の区分所有建物に存する居住の用に供する専有部分一室の数が3以下であって、その全て
を区分所有者又はその親族の居住の用に供するもの(いわゆる二世帯住宅など)
Ø たな卸商品等に該当するもの
Ø 借地権付分譲マンションの敷地の用に供されている「貸宅地(底地)」の評価をする場合
今回、「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」について、エクセルファイルが提供されたため、具体的に、築年数や総階数などを入れてみることで、従来の路線価や固定資産税評価額による評価との乖離について、イメージがわくかと思われます。令和6年から贈与税の生前贈与加算制度や相続時精算課税制度も大きく変わる予定です。これらと併せて、改正内容について年内に確認しておいて下さい。
<令和6年度税制改正大綱策定について>
令和6年11月17日、自民党税制調査会は総会を開き、令和6年度税制改正大綱策定に向けた検討を開始しました。
例年、税制改正大綱は12月の第2週あたりに発表されるため、約20日間にわたり議論されます。税制調査会での検討に先立ち、財務省が各府省庁から要望を集め、その要望についても検討されます。8月31日時点の単純集計した令和6年度税制改正要望の状況は下記のとおりです。
各府省庁から具体的な要望事項の概要については、下記ウェブサイトのリンク先をご参照ください。
※https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2024/request/06y_all.pdf
この中から、特にトピックとなる内容について詳述していきます。
(1)金融庁
①NISAの抜本的拡充等
令和6年(2024年)1月からの新しいNISA制度の開始にともない、手続きの更なるデジタル化を推進すること等により、投資家の利便性を向上させ、NISAの更なる普及・利用促進を図ります。
投資未経験者も含めて、利用者が簡単にNISAを活用できるようにし、サービスを提供する金融機関や利用者の負担を軽減するため、制度利用者への定期的な確認手続きにマイナンバーを利用するなどデジタル技術の活用により、NISAの手続簡素化・合理化を進めるべく要望を出しています。
※「https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/01.pdf」参照
②その他
例年、金融庁は「生命保険料控除制度の拡充」「死亡保険金の相続税非課税限度額引上げ」「金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)」を要望として掲げているが、いずれも実現していません。
(2)経済産業省
①大企業向け・中小企業向け賃上げ促進税制の拡充及び延長
現行の賃上げ促進税制については、令和4年度改正で、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始される各事業年度が対象となっています。来年3月に期限切れとなるのを前に、賃上げ促進税制の拡充及び延長の要望を出しています。
※「https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2024/zeisei_r/pdf/1_02.pdf」参照
②
法人版・個人版事業承継税制の見直し及び延長
現行の特例事業承継税制は、法人版が平成30年度税制改正で抜本拡充、個人版が平成31年度税制改正で新設されました。この中で特例承継計画の期限が来年3月31日に迫っているため、承継計画の確認申請(提出)の期限を一定期間延長する要望を出しています。なお、本要望は厚生労働省からも共同要望されているが、特例事業承継税制の趣旨が新たな雇用の創出や雇用の継続にある点であると考えられます。
※「https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2024/zeisei_r/pdf/1_02.pdf」参照
(3)国土交通省
①各種措置の延長
不動産に関係する以下の項目は、一般的に2年間の措置を継続して延長しているものであり、今回も同様に延長を要望しています。
・工事請負契約書及び不動産譲渡契約書に係る印紙税の特例措置の延長(印紙税)
・特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の延長(所得税)
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の延長(所得税)
・特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の延長(所得税)
・住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置の延長(登録免許税)
・買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置の延長(登録免許税)
・既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化リフォームに係る特例措置の拡充及び延長(所得税)
・認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に係る軽減措置の延長(登録免許税)
・認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に係る軽減措置の延長(経済産業省・環境省)(登録免許税)
個人的に気になる点が、国土交通省からの要望に、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(住宅取得等資金非課税制度)」が入っていない点です。令和5年度の税制改正において、令和6年1月から贈与税や相続税については、相続時精算課税制度や暦年贈与をしていた場合の贈与財産の加算(いわゆる生前贈与加算)制度が大幅に改正される予定です。一方で、令和5年度の税制改正においては、贈与税の非課税措置として、いわゆる「教育資金非課税制度」や「結婚・子育て資金非課税制度」において見直しが図られているものの延長措置が講じられています。もしかすると、相続時精算課税制度の利用を促進させるため、「住宅取得等資金非課税制度」は廃止される可能性があります。
引き続き、令和6年度税制改正大綱の正式発表まで、贈与税の「住宅取得等資金非課税制度」の措置を中心に、報道機関の発表等をご留意ください。
<令和5年版 法人税のあらましと申告の手引について>
令和5年10月30日に、国税庁ウェブサイトにおいて、「令和5年版 法人税のあらましと申告の手引」が公表されました。
これは、大きく①令和5年版 法人税のあらましと申告の手引、②令和5年版 申告書作成上の留意点、③令和5年版 中小企業者の判定等フローの3点から構成されており、各資料とも簡潔明瞭に記載されていることから、基本的な事項を確認するのに役立ちます。
(国税庁ウェブサイト
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2023/01.htm 参照)
まず、①令和5年版 法人税のあらましと申告の手引においては、下記について記載されています。
表紙・活用に当たっての留意事項・目次
1 法人税の基本的な仕組み
2 申告の種類と内容
3 地方法人税
4 申告書の作成
5 適用額明細書
6 納付の方法
7 その他(法人を設立したとき・消費税・源泉所得税・印紙税)
現在、法人税と共に地方法人税が課されており、後述の申告書別表一において、同じ申告書の中で計算されることになります。一方で、法人事業税や法人都民税はあくまで国税ではなく地方税となるため、別の様式により申告書を作成するため留意する必要があります。
また、「適用額明細書」は、やはり後述する各種中小企業者の特例等を適用する際に作成する必要があるものです。申告書を税務ソフト等で作成している場合は、自動で作成されるものと思われますが、手書きで作成されている場合には併せて作成する必要がある点に留意する必要があります。
次に、②令和5年版 申告書作成上の留意点についてですが、別表一から別表十九までの主な別表について、申告書と共に吹き出しでコメントが付されています。ピンポイントでその別表を作成する必要があるときに、まずはこちらから調べていただき、細部を専門書等で確認されるのをお薦めします。
最後に、③令和5年版 中小企業者の判定等フローについてですが、近年、中小企業者等の特例を利用するために、例えば資本金額を1億円以下に減少させる減資などの事案が多くなっていました。そこで、資本金の額又は出資金の額が5億円以上である大法人との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人については、資本金額が1億円以下であっても中小企業者の特例を認めないなど様々な措置がなされています。この中小企業者等の判定が近年複雑になっているため、その判定等のフローが明示されています。
本年10月から消費税のインボイス制度が開始され、消費税に注目が集まっていますが、法人が最終的に作成する必要がある申告書はあくまで法人税の申告書です。本あらましと申告の手引きを用いて、法人税の申告の概要把握に役立てて頂ければ幸甚です。
〈令和4年度における e-Tax の利用状況等について〉
令和5年10月20日に、国税庁ウェブサイトにおいて、「令和4年度におけるe-Taxの利用状況等について」、公表されました。
国税庁では、デジタルガバメントの実現に向けた政府全体の方針に基づき、利用目標の設定を含む累次の計画を策定し、これに沿って、e-Taxの普及及び定着に取り組んできており、オンライン利用率の目標として、令和5年度時点において具体的に下記の目標を掲げています。
法人税申告:92%
所得税申告:71%
相続税申告:40%
キャッシュレス納付割合:37%
これをグラフに表したものが下記のとおりです。
※国税庁ウェブサイト
「https://www.e-tax.nta.go.jp/topics/0510pressrelease.pdf」参照。
このような中で、令和4年度のe-Taxの利用状況等について公表されました。申告手続きにおいて大きく伸びたものが、「所得税申告」と「相続税申告」であり、それぞれ、+6.5%と+6.1%の増加率となっています。これを図示したものが下記のとおりです。
※国税庁ウェブサイト
「https://www.e-tax.nta.go.jp/topics/0510pressrelease.pdf」参照。
なお、表中の「納税証明書の交付請求」も、令和4年度において+6.5%と大幅に増加していま
す。これは、令和4年9月20日から、電子納税証明書(PDF形式及びXML形式)の交付及び
納税証明書の郵送による書面交付について、従来のe-Taxソフト(WEB版)に加えe-Taxソフト
(SP版)から申請ができるようになったことが一因と考えられます。
このe-Taxソフト(SP版)を利用した納税証明書の交付請求には、申請者本人(法人の場合は代表者本人)のマイナンバーカードが必要ですが、スマートフォン及びタブレット端末からe-Taxソフト(SP版)にログインし、「納税証明書の交付請求書(電子交付用)」又は「納税証明書の交付請求(書面交付用)」から選択し、画面表示に従い必要事項を入力し、送信することで電子納税証明書の交付及び納税証明書の郵送による書面交付の申請ができるようになった点が大きな変更点です。
また、キャッシュレス納付割合についても、令和4年度において+3.7%の増加となっています。具体的な「納付手段別納付件数」は、下記のとおりです。
令和5年度以降の新たな取組みについても公表されていて、その主な取組みは下記のとおりです。
・添付書類のイメージデータ(PDF形式)による提出について、1回当たりの送信容量を、
8MBから14MBへ拡大しました。(令和5年5月~)
・「マイページ」について、法人の方向けにも利用対象を拡大しました。(令和5年9月~)
・マイナポータル連携の自動入力対象を更に拡大する(給与所得の源泉徴収票情報(令和6年2月~)、小規模企業共済等掛金の控除証明書(iDeCo等)(令和6年1月~)、国民年金基金掛金の控除証明書(令和6年1月~)
令和5年10月から消費税のインボイス制度が開始され、令和6年1月からは改正電子帳簿保存法の宥恕規定もなくなり本適用が開始される予定です。税を取り巻く環境はDX化が加速度的に進んでいます。引き続き、国税庁からの発表などを元に、DX化を進めてください。
<居住用の区分所有財産の評価について>
令和5年9月28日に、「居住用の区分所有財産の評価について」の法令解釈通達が公表されました。
これは、近年の区分所有財産の取引実態等を踏まえ、居住用の区分所有財産の評価方法を定めたものであり、令和4年4月19日の最高裁判決に端を発した、いわゆるタワマン節税に関わるものです。
本最高裁判決を経て、令和5年度与党税制改正大綱(令和4年12月16日決定)に、「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する。」旨が記載された。その後、令和5年1月30日に国税庁において「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」の第1回会議が行われました。
そして、7月21日に新たな通達案として、「居住用の区分所有財産の評価について」の法令解釈通達(案)が公表され、意見公募手続を経て、9月28日に確定しました。
今回は改めて、本改正について解説していきます。
今回の改正のポイントは、従来の路線価(自用地としての価額)や固定資産税評価額(自用家屋としての価額)といった評価額に加え、相続税評価額が市場価格と乖離する要因となっている築年数、総階数(総階数指数)、所在階、敷地持分狭小度の4つの指数(評価乖離率)に基づいて、評価額を補正する方向となった点です。
具体的には、これら4指数に基づき統計的手法により乖離率を予測し、その結果、評価額が市場価格理論値の60%(一戸建ての評価の現状を踏まえたもの)に達しない場合は60%に達するまで評価額を補正するというものです。これを図示したものが次のものです。
※国税庁ウェブサイト
「https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023006-018.pdf」参照。
上記図に基づけば、見直し前において、評価水準(乖離率の逆数)が60%未満であったものは60%に上方修正されることになります。一方で、評価水準が100%超であったものは100%に下方修正されることとなります(下方修正は極めて軽微であると見込まれます)。
この「評価乖離率」については次のとおり定義されています。
(算式) 評価乖離率=A+B+C+D+3.220
上記算式中の「A」、「B」、「C」及び「D」は、それぞれ次によります。
「A」=当該一棟の区分所有建物の築年数×△0.033
「B」=当該一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239(小数点以下第4位を切り捨て)
「C」=当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018
「D」=当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位を切り上げ)
(注1)「築年数」は、当該一棟の区分所有建物の建築の時から課税時期までの期間とし、当該期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とします。
(注2)「総階数指数」は、当該一棟の区分所有建物の総階数を33で除した値(小数点以下第4位を切り捨て、1を超える場合は1)とします。この場合において、総階数には地階を含みません。
(注3)当該一室の区分所有権等に係る専有部分が当該一棟の区分所有建物の複数階にまたがる場合には、階数が低い方の階を「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」とします。
(注4)当該一室の区分所有権等に係る専有部分が地階である場合には、「当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階」は、零階とし、Cの値は零とします。
(注5)「当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度」は、当該一室の区分所有権等に係る敷地利用権の面積を当該一室の区分所有権等に係る専有部分の面積で除した値(小数点以下第4位を切り上げる。)とします。
また、「評価水準」についても、1を評価乖離率で除した値とすると定義されています。
これらを踏まえたうえで、具体的な計算は下記のとおりとなります。
まず、一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額については、「自用地としての価額」に、次の算式による区分所有補正率を乗じて計算した価額を当該「自用地としての価額」とみなして評価基本通達(評価基本通達25並びに同項により評価する場合における評価基本通達27((借地権の評価))及び27-2((定期借地権等の評価))を除く)を適用して計算した価額によって評価します。ただし、評価乖離率が零又は負数のものについては、評価しません。
(算式)
(1)評価水準が1を超える場合
区分所有補正率=評価乖離率
(2)評価水準が0.6未満の場合
区分所有補正率=評価乖離率×0.6
(注1)区分所有者が次のいずれも単独で所有している場合には、「区分所有補正率」は1を下限とする。
イ 一棟の区分所有建物に存する全ての専有部分
ロ 一棟の区分所有建物の敷地
(注2)評価乖離率を求める算式及び上記(2)の値(0.6)については、適時見直しを行うものとします。
次に、一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額については、「自用家屋としての価額」に、上記2に掲げる算式((注)1を除く)による区分所有補正率を乗じて計算した価額を当該「自用家屋としての価額」とみなして評価基本通達を適用して計算した価額によって評価します。ただし、評価乖離率が零又は負数のものについては、評価しません。
上記の評価方法の適用後も、最低評価水準と重回帰式については、固定資産税の評価の見直し時期に併せて、当該時期の直前における一戸建て及びマンション一室の取引事例の取引価格に基づいて見直すものとするとしています。また、当該時期以外の時期においても、マンションに係る不動産価格指数等に照らし見直しの要否を検討するものとするとしています。
加えて、マンション市場価格の大幅な下落その他見直し後の評価方法に反映されない事情が存することにより、当該評価方法に従って評価することが適当でないと認められる場合は、個別に課税時期における時価を鑑定評価その他合理的な方法により算定する旨を明確化する(他の財産の評価における財産評価基本通達6項に基づくこれまでの実務上の取扱いを適用)とのことです。
今回のマンションの相続税評価額の見直しについては、令和6年1月1日以後の相続等又は贈与により取得した財産に適用されます。したがって、令和5年以前に取得しているマンションについても見直し後の評価により行うこととなります。
令和6年1月以降、贈与税の改正や相続税における生前贈与加算(被相続人から生前に暦年課税に係る贈与によって取得した財産のうち相続開始前3年以内に贈与されたものについては、贈与税がかかっていたかどうかに関係なく加算するもの)も大きく変わる予定です。相続対策等については、抜本的な見直しが求められる過渡期を迎えています。
<インボイス制度について>
令和5年10月1日から、いよいよ消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始されます。
改めて、国税庁のウェブサイトに掲載されているインボイス制度について紹介します。
インボイス制度については、国税庁ウェブサイトのトップページのバナーに、こちらのものがあります。
このバナーをクリックすると、下記の特設サイトに移動できます。
※国税庁ウェブサイト
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
参照
まず、右上の「インボイス制度公表サイト(適格請求書発行事業者公表サイト)」ですが、こちらは適格請求書等の発行登録申請がされて、その申請が受理されたものについて、登録番号を検索できるようになっています(下記リンク先参照)。
※国税庁ウェブサイト https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/
ここで注意頂きたいのが、個人名や屋号、法人名からは検索ができない点です。ただ、法人については、法人のマイナンバー(法人番号)が公表されており、このマイナンバー13桁がそのままインボイスの登録番号となります。したがって、法人番号を法人名から検索して調べれば、インボイスの登録が完了しているかどうかは判断できます。
一方、個人のマイナンバーは外部に公表されているものではなく、インボイスの登録番号との連動も全く無関係のものです。よって、個人については、個人名や屋号名から検索することは事実上できないことになります。10月以降に請求書や領収書等にインボイスの番号(登録番号)が記載されていた場合には、こちらの検索サイトを利用して確認されることを推奨します。
インボイス制度の特設サイトの下半分は下記のような内容となっています。
※国税庁ウェブサイト
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
参照
インボイス制度の説明会については、国税局・税務署等にて開催している説明会等のみならず、オンライン説明会も用意されています。また、こちらのリンク先のように、YouTubeにより会話形式で分かりやすく説明されているものもあります。
※「消費税 インボイス制度特集」
https://www.youtube.com/playlist?list=PLu9kixYOfBRIQFM6xcSFzcGmx_jc031qc
また、「制度の概要」や「Q&A」、「取扱通達」や「申請手続」についても丁寧に解説されています。「インボイスコールセンター」の案内も記載されていますが、「税務相談チャットボット」も用意されているので、チャットボットでまずは気軽に聞いてみると良いかと思われます。
来月から始まるインボイス制度は、特に今まで免税事業者であった事業者に多大な影響が発生します。当面は、いわゆる2割特例も創設されますが、簡易課税制度を選択するかどうかなども同時に検討することが肝要です。
来年1月からは、改正電子帳簿保存法も本格的に導入開始となります。インボイス制度については、デジタルインボイスの制度も整備されていく予定で、改正電子帳簿保存法制度についても、いわゆる電子取引についての電子保存が強制化されます。
準備は大変ですが、経理や総務周りをDX化していく非常に良い契機となります。インボイス制度については、本稿で紹介した特設サイトなどを利用して、引き続き、情報の収集に努めて頂ければ幸甚です。
<令和4年度租税滞納状況の概要について>
令和5年8月30日に、国税庁のウェブサイトに「令和4年度租税滞納状況の概要」が掲載されました。
こちらに掲載されている概要は、「租税滞納の状況」と「滞納の未然防止及び整理促進に関する取組」から構成されていて、本稿では、主に「租税滞納の状況」について論じます。
まず、令和4年度における新規発生滞納額ですが、7,196億円となっており、令和3年度と比較すると、331億円(▲4.4%)減少しました。
なお、新規発生滞納額は、ピーク時の平成4年度(新規発生滞納額は、1兆8,903億円)の約4割となっています。
これを図示したものが次のとおりです。
※国税庁ウェブサイト
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/sozei_taino/pdf/sozei_taino.pdf 参照
例年、新規発生滞納額で最も大きい税目が消費税です。消費税は消費者(または事業者)から預かった税金を納付する間接税の形態をとっているため、資金繰りに窮する場面において、預かっている消費税相当額を引き出して運転資金に充当されてしまいやすい税目です。同じようなものとして、源泉所得税がありますが、源泉所得税は一般的に預かった翌月10日には納税するものなので、消費税と比較すると長期に預かる性質の税金ではありません。
次に新規の滞納発生割合(徴収決定済額〔申告などにより課税されたものの額〕に占める新規発生滞納額の割合)ですが、直近10年とも1.0%台と低水準で推移しています。
これを図示したものが次のとおりです。
※国税庁ウェブサイト
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/sozei_taino/pdf/sozei_taino.pdf 参照
令和3年度と令和4年度の新規発生滞納額が他の年に比較するとやや増加していますが、アフターコロナで売上や利益が回復したものの、借入金の返済猶予などの期限が到来したり、徴収猶予されていた税金についての支払いなども発生し、新規の滞納発生額が増えているものと思われます。
最後に、「滞納の未然防止に関する取組」の一部も触れておきます。
令和5年5月、国税庁ホームページに「納税に関する総合案内」が開設されました。この「納税に関する総合案内」では、納税手続に関する情報を知りたい方、計画的な納税(資金の積立て)を検討されている方、国税を納期限までに納付することが困難な方など、閲覧する方のニーズに沿って、簡単に情報が取得できるよう、納税に関する情報を案内しているとのことです。
また、SNSを活用して納期限や振替期日などの事前周知を実施しているほか、地方公共団体、税理士会、関係民間団体、業界団体等の協力を得て、各種広報媒体や説明会などの機会を活用し、期限内納付のための周知を実施しているとのことです。
さらに、「多様な納付手段の提供」として、下記の図に掲げるようなものも紹介されています。
※国税庁ウェブサイト
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/sozei_taino/pdf/sozei_taino.pdf 参照
租税滞納自体は起こらないようにしていくべきものではありますが、その予防策として、これらのキャッシュレス納付などは、ぜひ積極的に活用ください。
<インボイス制度開始に伴う消費税法基本通達の改正について
令和5年8月10日に、国税庁のウェブサイトに「消費税法基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」が掲載されました。
今回の消費税法基本通達の改正は、本年10月から開始される適格請求書等保存方式(インボイス制度)開始に伴う措置です。国税庁のウェブサイトにおいても、今回の改正理由として、以下のように紹介されています。
消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式の開始に伴い、所要の整備を図るものです。
したがって、本改正については、令和5年10月1日から適用することとし、次に掲げる法令解釈通達については同日に廃止する、と紹介されています。
(1) 平成16年2月19日付課消1-8ほか5課共同「事業者が消費者に対して価格を表示する場合の取扱い及び課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置の取扱いについて」(法令解釈通達)
(2) 平成28年4月12日付課軽2-1ほか5課共同「消費税の軽減税率制度に関する取扱通達の制定について」(法令解釈通達)
(3) 平成30年6月6日付課軽2-8ほか5課共同「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達の制定について」(法令解釈通達)
それでは、具体的な改正内容はどのようになっているのか。特に新設された項目を中心にタイトルを列挙すると下記のとおりです。
1-4-1の2 適格請求書発行事業者における法第9条第1項本文の適用関係
1-7-1 登録申請書を提出することができる事業者
1-7-2 登録番号の構成
1-7-3 適格請求書発行事業者の登録の効力
1-7-4 相続があった場合の登録の効力
1-7-5 共同相続があった場合の登録の効力
1-7-6 合併又は分割があった場合の登録の効力
1-7-7 事業の廃止による登録の失効
1-8-1 適格請求書の意義
1-8-2 適格請求書の記載事項に係る電磁的記録の提供
1-8-3 適格請求書及び適格簡易請求書の記載事項の特例
1-8-4 軽減対象課税資産の譲渡等がある場合の適格請求書の記載事項
1-8-5 軽減対象課税資産の譲渡等とそれ以外の資産の譲渡等を一括して対象とする値引販売
1-8-6 家事共用資産を譲渡した場合の適格請求書に記載すべき課税資産の譲渡等の対価の額等
1-8-7 共有物の譲渡等における適格請求書に記載すべき課税資産の譲渡等の対価の額等
1-8-8 適格請求書発行事業者でなくなった場合の適格請求書の交付
1-8-9 媒介者等を介して国内において課税資産の譲渡等を行う場合の意義
1-8-10 媒介者等に対する通知の方法
1-8-11 媒介者等が交付する適格請求書等の写しの内容
1-8-12 3万円未満のものの判定単位
1-8-13 公共交通機関特例の対象となる運賃及び料金の範囲
1-8-14 自動販売機及び自動サービス機の範囲
1-8-15 適格請求書に記載すべき消費税額等の計算に係る端数処理の単位
1-8-16 外貨建取引における適格請求書に記載すべき消費税額等
1-8-17 適格返還請求書の交付義務が免除される1万円未満の判定単位
1-8-18 登録前に行った課税資産の譲渡等に係る対価の返還等
1-8-19 適格請求書発行事業者でなくなった場合の適格返還請求書の交付
1-8-20 適格返還請求書の交付方法
1-8-21 修正適格請求書の記載事項
4-4-3 受託事業者が交付する適格請求書等
5-9-1 食品の範囲
5-9-2 飲食料品の販売に係る包装材料等の取扱い
5-9-3 一の資産の価格のみが提示されているもの
5-9-4 一体資産に含まれる食品に係る部分の割合として合理的な方法により計算した割合
5-9-5 自動販売機による譲渡
5-9-6 飲食店業等の事業を営む者が行う食事の提供の意義
5-9-7 飲食に用いられる設備
5-9-8 飲食設備等の設置者が異なる場合
5-9-9 食事の提供の範囲
5-9-10 持ち帰りのための飲食料品の譲渡か否かの判定
5-9-11 給仕等の役務を伴う飲食料品の提供
5-9-12 有料老人ホーム等の飲食料品の提供に係る委託
5-9-13 1週に2回以上発行する新聞の意義
11-6-2 立替払に係る適格請求書
11-6-3 古物に準ずるものの範囲
11-6-4 通常必要であると認められる出張旅費、宿泊費、日当等
11-6-5 通常必要であると認められる通勤手当
11-6-8 課税仕入れに係る支払対価の額が確定していない場合の適格請求書の保存
15-2-1の2 課税標準額に対する消費税額の計算
16-2-6 控除対象外仕入れに係る支払対価の額の意義
16-2-7 取戻し対象特定収入の判定単位
16-2-8 借入金等の返済又は償還のための補助金等の取扱い
16-2-9 令第75条第1項第6号ロに規定する文書により控除対象外仕入れに係る
支払対価の額の合計額を明らかにしている場合の適用関係
18-1-1 総額表示の具体的な表示方法
18-1-2 会員制の店舗等の取扱い
18-1-3 専ら他の事業者に対して行われる場合の意義
18-1-4 単価、手数料率等の取扱い
18-1-5 希望小売価格の取扱い
18-1-6 タイムサービスの値引き表示の取扱い
18-1-7 総額表示の対象となる表示媒体
18-1-8 価格表示をしていない場合
21-1-1 免税事業者に係る適格請求書発行事業者の登録申請に関する経過措置
21-1-2 貸倒れがあった場合の適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る
税額控除に関する経過措置の適用関係
21-1-3 適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除
に関する経過措置
21-1-4 追記の範囲及び内容
21-1-5 請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置の対象となる
事業者の範囲
21-1-6 請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置における1万満の判定単位
※国税庁ウェブサイト
また、用語においても、「適格請求書発行事業者」、「軽減対象課税資産の譲渡等」、「飲食料品」、「食品」、「標準税率」、「軽減税率」、「適格請求書」、「適格簡易請求書」、「適格返還請求書」、「総額表示」、「税込価格」、「税抜価格」について、それぞれ新設されています。
以上のように、新設された各通達番号および用語をみると、今回の改正の中心は先に触れたとおりインボイス制度開始に伴う措置でありますが、同時に消費税率10%へ変更になった際に導入された軽減税率や総額表示などについても今回の改正に盛り込まれています。
インボイス導入開始の10月1日が近づいてきています。今まではQ&Aなどを中心に確認されていたかと思われますが、今後は新たに改正となった通達もご確認ください。
令和5年7月10日、国税庁のウェブサイトに「税務署の内部事務のセンター化について」の案内が掲載されました。
国税庁では、税務署における内部事務(例えば、申告書の入力処理、申告内容についての照会文書の発送などの事務)の効率化・高度化を図るとともに、納税者利便の向上や外部事務(調査・徴収事務)の充実・高度化を目指し、令和3年7月から、一部の税務署を対象に、複数の税務署の内部事務を専担部署(業務センター)で集約処理する「内部事務のセンター化」を実施しています。
例年、7月10日は税務署の定期異動日となっているため、改めてこのタイミングで案内がされたものであると考えられます。
なお、内部事務のセンター化は、納税者の所轄税務署を変更するものではないため、あくまで申告書等の表題に記載する提出先は〇〇税務署長のままとなります。
具体的な案内の内容は下記のとおりです。
1.業務センターへの申告書・申請書等の提出
内部事務のセンター化の対象となる税務署に、申告書・申請書等を提出する場合は、以下のとおりの対応を執ることとなります。
・e-Tax(データ)により提出する場合は、所轄税務署へ送信(従来と変更なし)
・書面により提出する場合は、業務センターへ郵送(変更あり)
このように、書面による提出の場合の提出先が変更となります。郵送による提出先となる業務センターの所在地は、「書面の申告書等の郵送による提出先となる業務センターの所在地(下記リンク先参照)」のとおりです。
https://www.nta.go.jp/about/organization/gyoumu_center/pdf/0023004-032_03.pdf
なお、詳細については、各国税局ページ(下記リンク先参照)を確認して欲しいとのことです。
https://www.nta.go.jp/about/organization/gyoumu_center/index.htm#jokyo
また、令和5年7月10日以降の業務センターとセンター化の対象となる税務署は、「内部事務のセンター化の対象となる税務署一覧(下記リンク先参照)」のとおりです。
https://www.nta.go.jp/about/organization/gyoumu_center/pdf/0023004-032_04.pdf
今まで、直接、税務署へ提出していた方もいらっしゃるかと思いますが、書面の申告書・申請書等を、業務センターへ直接持ち込むことはできないため、税務署の窓口及び時間外収受箱へ提出する場合は、引き続き、所轄税務署に直接提出することとなります。
2.業務センターから納税者・税理士への問合せ
業務センターでは、納税者や税理士に対し、内部事務を処理するため、電話や文書により問合せをさせていただくことがあるとの記載があります。実際、弊所も税務実務を行っていますが、業務センターからの問い合わせが増えていると感じています。
3.その他の案内
「その他の案内」として、次の事項は業務センターでは対応していない旨が紹介されています。
・国税に関する相談(納付に関する相談を含む。)
・税務署の窓口で対応している納税証明書の交付、閲覧申請、情報公開、現金による国税の納付
・申告書や申請書等の用紙の送付依頼
以上のように、国税庁や国税局、各税務署においても、業務効率化の一環としての動きが加速しています。各税法の理解と共に、実務的な動きについても併せて確認が必要です。
令和5年7月21日、国税庁のウェブサイトに「電子帳簿保存法関係パンフレット・過去の主な改正」制度の概要パンフレット(令和5年6月版)を掲載したとの案内がされました。
改正電子帳簿保存法においては、いわゆる電子取引データについて電子保存を強制する措置が定められており、2年間の宥恕期間を経て、来年の令和6年1月1日以降の取引から開始されることとなります。
今回は、改めてこの電子帳簿等保存制度について確認していきます。
電子帳簿等保存制度とは、税法上保存等が必要な「帳簿」や「領収書・請求書・決算書など(国税関係書類)」を、紙ではなく電子データで保存することに関する制度をいい、下記の3つの制度に区分されています。
① 電子帳簿等保存(任意措置で希望者のみ)
ご自身で最初から一貫してパソコン等で作成している帳簿や国税関係書類は、プリントアウトして保存するのではなく、電子データのまま保存ができます。例えば、会計ソフトで作成している仕訳帳やパソコンで作成した請求書の控え等が対象となります。さらに、一定の範囲の帳簿を「優良な電子帳簿」の要件を満たして電子データで保存している場合には、後からその電子帳簿に関連する過少申告が判明しても過少申告加算税が5%軽減される措置があります(あらかじめ届出書を提出している必要があります)。
② スキャナ保存(任意措置で希望者のみ)
決算関係書類を除く国税関係書類(取引先から受領した紙の領収書・請求書等)は、その書類自体を保存する代わりに、スマホやスキャナで読み取った電子データを保存することができます。
③ 電子取引データ保存(強制措置で法人や個人事業者は対応が必要)
申告所得税・法人税に関して帳簿・書類の保存義務が課されている方が、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合には、その電子データ(電子取引データ)を保存しなければなりません。
この3つの制度を図示したものが次のとおりです。
※国税庁ウェブサイト
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021012-095_03.pdf#page=4 参照
このうち、①電子帳簿等保存と②スキャナ保存については任意措置であると共に、令和3年度の税制改正において、税務署長の事前承認制度が廃止されたため、いつでも体制が整ったタイミングで開始することができるようになっています。
詳細は、こちらのパンフレット等をご参照ください。
① 電子帳簿等保存(任意措置で希望者のみ)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_02.pdf
② スキャナ保存(任意措置で希望者のみ)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_03.pdf
一方、③電子取引データ保存については、任意措置ではなく強制措置であるため、早めの準備が必要です。
その準備にあたっては、下記のとおり令和5年度の税制改正において、一部が見直されているため、これらも考慮していく必要があります。
・検索機能の全てを不要とする措置の対象者の見直し
税務調査等の際に電子取引データの「ダウンロードの求め(調査担当者にデータのコピーを提供すること)」に応じることができるようにしている場合に検索機能の全てを不要とする措置について、以下のとおり対象者が見直されました。
イ 検索機能が不要とされる対象者の範囲が、基準期間(2課税年度前)の売上高が「1,000万円以下」の保存義務者から「5,000万円以下」の保存義務者に拡大されました。
ロ 対象者に「電子取引データをプリントアウトした書面を、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしている保存義務者」が追加されました。
・令和4年度税制改正で措置された「宥恕措置」は、適用期限(令和5年12月31日)をもって廃止
・新たな猶予措置の整備
次のイ・ロの要件をいずれも満たしている場合には、改ざん防止や検索機能など保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことができることとされました。
イ 保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合(事前申請等は不要)
ロ 税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合
以上をフローチャート化して図示したものが下記のとおりです。
※国税庁ウェブサイト
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_01.pdf 参照
消費税のインボイス制度が10月1日開始と迫っているなか、改正電子帳簿保存法の電子取引データの電子保存の対応も急務となっています。どちらも会計におけるDX化を伴うものですので、システム整備などその対応の準備を早急に進めて頂く必要があります。
<マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について>
令和5年6月30日に国税庁より、「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について」の報道発表がされました。
相続税や贈与税における財産の価額は、相続税法第22条の規定により、「財産の取得の時における時価による」こととされており、これを受け、国税庁では財産評価基本通達に各種財産の具体的な評価方法を定めています。財産評価基本通達に定める評価方法については、相続税法の時価主義の下、より適正なものとなるよう見直しが適宜行われていますが、こうした中で、マンションの「相続税評価額」については、「時価(市場売買価格)」との大きな乖離が生じているケースが確認されています。
また、令和5年度与党税制改正大綱(令和4年12月16日決定)に、「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する。」旨が記載されました。
そこで、マンションの相続税評価について、市場価格との乖離の実態を踏まえた上で適正化を検討するため、本年1月に有識者会議が設置され、今回の第3回有識者会議において、見直し案の要旨について有識者から意見が出されました。
国税庁では、今後、これを踏まえ、通達案を作成し、意見公募手続を行う予定です。
有識者会議において、まず注目されたのが、「乖離率」の実態についてです。ここでいう「乖離率」とは、マンションの市場価格から相続税評価額を除したものであり、統計資料において、マンションの乖離率が平均2.34倍と一戸建ての乖離率の平均1.66倍よりもかなり高く、マンション全体の約65%は、相続税評価額が市場価格の半額となっている現状が示されました。
※国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023006-018.pdf」参照。
次に、この「乖離率」が生ずる主な要因について、考察されています。具体的には、建物の評価額は、再建築価格をベースに算定されている一方で、市場価格はそれに加えて建物の総階数、マンション一室の所在階も考慮されているほか、評価額への築年数の反映が不十分だと、評価額が市場価格に比べて低くなるケースがあり、建物の効用の反映が不十分であると指摘されています。
また、マンション一室を所有するための敷地利用権は、共有持分で按分した面積に平米単価を乗じて評価されますが、この面積は一般的に高層マンションほどより細分化され狭小となるため、このように敷地持分が狭小なケースは立地条件の良好な場所でも、評価額が市場価格に比べて低くなり、立地条件の反映が不十分であると指摘されています。
このような観点から、相続税評価額が市場価格と乖離する要因となっている築年数、総階数(総階数指数)、所在階、敷地持分狭小度の4つの指数に基づいて、評価額を補正する方向で通達の整備を行うと発表されました。
具体的には、これら4指数に基づき統計的手法により乖離率を予測し、その結果、評価額が市場価格理論値の60%(一戸建ての評価の現状を踏まえたもの)に達しない場合は60%に達するまで評価額を補正するというものです。これを図示したものが次のものです。
※国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023006-018.pdf」参照。
上記図に基づけば、見直し前において、評価水準(乖離率の逆数)が60%未満であったものは60%に上方修正されることになります。一方で、評価水準が100%を超えるものであったものは100%に下方修正されることとなります(下方修正は極めて軽微であると見込まれます)。さらに詳細な計算方法は以下のとおりです。
まず、区分所有に係る財産の各部分(建物部分及び敷地利用権部分。ただし、構造上、居住の用途に供することができるものに限ります。以下「マンション一室」といいます。)の価額は、次の算式により計算した価額によって評価することとします。
現行の相続税評価額
× 当該マンション一室の評価乖離率 × 最低評価水準0.6(定数)
⇒重回帰式による理論的な市場価格
(注1)「マンション一室」には、総階数2階以下の物件に係る各部分及び区分所有されている居住用部分が3以下であって、かつ、その全てが親族の居住用である物件(いわゆる二世帯住宅等)に係る各部分は含みません。
(注2)評価乖離率が0.6分の1以下(約1.67以下)となるマンション一室は現行の相続税評価額×1.0とします。
(注3)評価乖離率が1.0未満となるマンション一室の評価額は次によります。
現行の相続税評価額×当該マンション一室の評価乖離率
(注4)不動産鑑定評価書等に照らし評価額が通常の取引価額を上回ると認められる場合には、当該価額により評価します。
上記の「評価乖離率」は、「①×△0.033+②×0.239+③×0.018+④×△1.195+3.220」により計算したものとします。
①
:当該マンション一室に係る建物の築年数
②
:当該マンション一室に係る建物の「総階数指数」として、「総階数÷33(1.0を超える場合は1.0)」
③
:当該マンション一室の所在階
④ :当該マンション一室の「敷地持分狭小度」として、「当該マンション一室に係る敷地利用権の面積÷当該マンション一室に係る専有面積」により計算した値
【参考】上記の算式は、次の(1)の目的変数と(2)の説明変数に基づく重回帰式です。
(1)目的変数
平成30年分のマンション一室の取引事例における取引価格÷当該マンション一室の相続税評価額
(2)説明変数 2.に掲げる算式における①、②、③、④
上記の評価方法の適用後も、最低評価水準と重回帰式については、固定資産税の評価の見直し時期に併せて、当該時期の直前における一戸建て及びマンション一室の取引事例の取引価格に基づいて見直すものとするとしています。また、当該時期以外の時期においても、マンションに係る不動産価格指数等に照らし見直しの要否を検討するものとするとしています。
加えて、マンション市場価格の大幅な下落その他見直し後の評価方法に反映されない事情が存することにより、当該評価方法に従って評価することが適当でないと認められる場合は、個別に課税時期における時価を鑑定評価その他合理的な方法により算定する旨を明確化します(他の財産の評価における財産評価基本通達6項に基づくこれまでの実務上の取扱いを適用。)とのことです。
今回のマンションの相続税評価額の見直しについては、令和6年1月1日以後の相続等又は贈与により取得した財産に適用するとしています。したがって、令和5年以前に取得しているマンションについても見直し後の評価により行うこととなります。
令和6年1月以降、贈与税の改正や相続税における生前贈与加算(被相続人から生前に暦年課税に係る贈与によって取得した財産のうち相続開始前3年以内に贈与されたものについては、贈与税がかかっていたかどうかに関係なく加算するもの)も大きく変わる予定です。相続対策等については、抜本的な見直しが求められる過渡期を迎えています。
〈令和5年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について
令和5年6月16日に国税庁より、「令和5年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)」が公表されました。
この法令解釈通達では、令和5年分の相続税及び贈与税の申告のため、取引相場のない株式を原則的評価方法の一つである類似業種比準方式により評価する場合、その算定に必要となる業種目別の1株当たりの配当金額、利益金額、簿価純資産価額及び株価について定めています。
類似業種比準方式については、類似業種の株価として、「課税時期の属する月」、「課税時期の属する月の前月」、「課税時期の属する月の前々月」、「前年平均株価」、「課税時期の属する月以前2年間の平均株価」のうち最も低いものを利用できるとされています。
したがって、国税庁から公表される「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」も課税時期の属する月の前々月の株価等までが掲載されています。
ここで留意すべき点は、今回公表された法令解釈通達において、業種目ごとに標本会社が見直されている可能性がある点です。
つまり、今回公表された「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等(令和5年分)」における「令和4年11月分」及び「令和4年12月分」の株価と、前回公表された「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等(令和4年分)」における令和4年11月分」及び「令和4年12月分」の株価は、標本会社が見直されている結果、異なるケースがある点です。
具体例として下記に掲げる「建設業(総合工事業)」の株価を比較頂きたいです。どちらの表にも「令和4年11月分」及び「令和4年12月分」の株価が記載されていますが、両者の金額は異なっています。ここで、課税時期が令和5年以降のものについては、「令和5年分」の表に記載の株価を利用し、「令和4年分」の表に記載されている株価は利用しないこととなります。
課税時期がいつ発生したものかによって、利用する表も異なってくるので留意する必要があります。
<令和4年分の所得税等の確定申告状況等について>
令和5年5月31日、国税庁ウェブサイトに「令和4年分所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」が掲載されました。
これは、令和4年中の暦年課税の対象となる個人の確定申告のうち、所得税等、消費税及び贈与税の申告の状況等についてまとめられたものです。(個人)消費税については、令和5年10月から開始される適格請求書等保存制度(インボイス制度)によりどの程度、申告対象者が増えるのかが注目され、また、贈与税については、令和6年以降の贈与税の抜本的改正により、いわゆる暦年課税制度から相続時精算課税制度へ移行する者がどの程度増えるのかが注目されています。
このように消費税や贈与税は、本年以降、大きな変化が発生すると見込まれることから、本稿では所得税等の申告のうち、特にe-Tax(電子申告)の利用状況等について触れていきます。
まず、各年における所得税等の確定申告書のe-Taxによる送信方式別提出人員は下記の図のとおりです。
※国税庁ウェブサイト https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023005-053.pdf 参照(以下同様)
この図によると、令和4年分の所得税等の確定申告人員全体は約2,295万人にのぼり、そのうち、e-Taxを利用して確定申告をした人員が約1,495万人と65.1%にのぼっています。新型コロナウィルス感染症の影響もあり、令和2年分からe-Tax利用人員が、書面提出人員を逆転していることが読み取れます。
一方で、本報道発表資料内で注目しているのは、自宅等からの納税者本人によるe-Tax送信が平成30年分の約5倍に増えていて、確定申告会場で提出した方の約2倍を超えているという点です。
また、納税者本人による送信には、大きく「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」による送信がありますが、「マイナンバーカード方式」を利用した方が約592万人のうち約387万人と7割弱近くに達しています。そして、約387万人のうちスマホ申告(スマートフォンを利用して確定申告をした方)が約179万人と半数近くに達しています。マイナポータルで1年間分の医療費情報や公的年金等の源泉徴収票、国民年金保険料控除証明書が連携対象になり、一層スマホによる確定申告の利便性が向上したことが大きく増加している一因と考えられます。
最後に、国税庁ウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」の利用状況についても触れておきます。「確定申告書等作成コーナー」においては、スマホ申告では対応できないような不動産所得や譲渡所得といった内容のものも対応可能ですが、令和4年分において初めて作成コーナーを利用したe-Tax件数が作成コーナーを利用して書面で申告書を提出した方を逆転しました。
以上のように、個人の所得税の確定申告は、e-Taxを利用した確定申告がスタンダードになってきています。本稿では申告方法に着目して紹介しましたが、納税方法も電子納付(ダイレクト納付やクレジット納付)が普及してきているため、状況に応じて有効に活用ください。
<納付書の事前送付について>
令和5年5月19日、国税庁ウェブサイトに「納付書の事前送付についてのお知らせ」が掲載されました。
その内容によると、令和6年5月以降に送付する分から、e-Taxにより申告書を提出している法人の方などについて、納付書の事前の送付を取りやめることとしています。この時期にその案内が発出されたのは、日本では3月決算法人が多く、法人の確定申告が5月に集中していることからであることが予想され、一年前の今の段階に注意喚起しているものと考えられます。
そもそも法人の確定申告については、平成30年度の税制改正において、大法人(事業年度開始の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円を超える法人)による電子申告の義務化が決定されました。具体的にこの改正は、令和2年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています。この電子申告の義務化に伴い、大法人以外の法人においてもe-Taxにより申告書を提出している法人については申告書等の紙での事前送付が廃止されています。一方で、新設法人においては、申告等の案内の必要性から、引き続き、紙での事前送付が行われています。
今回の納付書の事前送付の取りやめについて、具体的にその対象となる法人や個人は下記のとおりとされています。
・e-Taxにより申告書を提出されている法人の方
・e-Taxによる申告書の提出が義務化されている法人(大法人など)の方
・e-Taxで「予定納税額の通知書」の通知を希望された個人の方
・「納付書」を使用しない次の手段により納付されている法人・個人の方
ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)
振替納税
インターネットバンキング等による納付
クレジットカード納付
スマホアプリ納付
コンビニ納付(QRコード)
一方、注意書きで、現在、e-Taxを利用されず、税務署から送付された納付書で納付されている方など納付書を必要とされる方に対しては、引き続き、納付書を送付する予定としているとしています。また、源泉所得税の徴収高計算書については、引き続き送付する予定ではありますが、積極的に、電子申告やキャッシュレス納付を利用する旨が紹介されています。
10月からの消費税のインボイス制度の導入、来年1月からの改正電子帳簿保存法の完全施行への準備とともに、税金の支払いについても積極的な電子化への準備をお勧めします。
<電子帳簿保存法の改正について>
令和5年4月14日、国税庁ウェブサイトに「電子帳簿保存法の内容が改正されました~令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要~」が掲載されました。
電子帳簿保存法は、経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、記帳水準の向上等に資するため、令和3年度の税制改正において、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」の改正等が行われ、帳簿書類を電子的に保存する際の手続等について、抜本的な見直しがなされました。
その抜本的な見直しの一つが、電子取引における電子保存の義務化についてでした。下記図にあるとおりですが、①電子帳簿等保存と②スキャナ保存については任意であり、引き続き、紙媒体による保存が許容されますが、③電子取引については電子保存を義務化するというものです。
※国税庁ウェブサイト https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021012-095_03.pdf 参照
一方で、その適用開始が当初は令和4年1月1日以後行う電子取引からの予定でしたが、中小零細企業を中心とした実務への影響が甚大であることから、令和4年度の税制改正において、電子取引における電子保存の義務化については、2年間の猶予が認められることとなりました。令和5年度の税制改正については、さらに以下の見直しが図られることとなりました。
(1)検索機能の全てを不要とする措置の対象者の見直し
税務調査等の際に電子取引データの「ダウンロードの求め(調査担当者にデータのコピーを提供すること)」に応じることができるようにしている場合に検索機能の全てを不要とする措置について、以下のとおり対象者が見直されました。
・検索機能が不要とされる対象者の範囲が、基準期間(2課税年度前)の売上高が「1,000万円以下」の保存義務者から「5,000万円以下」の保存義務者に拡大
・対象者に「電子取引データをプリントアウトした書面を、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしている保存義務者」を追加
(2)令和4年度税制改正で措置された「宥恕措置」は、適用期限(R5.12.31)で廃止
当初の予定どおり、令和4年度税制改正で措置された「宥恕措置」は、適用期限である令和5年12月31日で廃止される予定です。ただし、令和5年12月31日までにやり取りした電子取引データを「宥恕措置」を適用して保存している方は、令和6年1月1日以後も保存期間が満了するまで、そのプリントアウトした書面を保存し続け、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば問題ないとされました。
(3)新たな猶予措置として下記内容が整備
次のいずれの要件も満たしている場合には、改ざん防止や検索機能などの保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことができることとされました。
・保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認められる場合(事前申請等は不要)
・税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合
今回の電子帳簿保存法の見直しにより、電子取引における電子保存の義務化については、以前よりも緩和措置が図られたものの、適用開始が令和6年1月1日以降であることに変わりはありません。令和5年10月1日からはインボイス制度も開始される予定であるため、自社発行の請求書等や他社発行の請求書等の保存については、その整備が急務となっています。
<令和5年度税制改正法案について
令和5年3月28日、令和5年度税制改正法案(「所得税法等の一部を改正する法律案」および「地方税法等の一部を改正する法律案」)が参院本会議で与党などの賛成多数で可決・成立しました。「所得税法等の一部を改正する法律案」は、2月3日に閣議決定後、同日国会に提出され、2月28日に衆議院を通過していました。「地方税法等の一部改正する法律案」も、同様に国税より少し遅れて2月7日に閣議決定後、同日国会に提出され、国税と同じく衆議院を2月28日に通過していました。財務省では、令和5年度の税制改正による税収の増減収について、初年度90億円、平年度10億円の減収を見込んでいます。
令和5年度税制改正の中で、注目すべきは「資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築」として贈与税や相続税の課税関係です。
そこで、改めて令和5年度の税制改正の中で、特に贈与税と相続税の課税関係について、税制改正大綱の内容と共に紹介していきます。
(1)相続時精算課税制度について
まず、相続時精算課税制度については、「相続時精算課税制度の使い勝手向上」というタイトルで、具体的に税制改正大綱では下記のとおり紹介されています。
「相続時精算課税制度は、平成15年度に次世代への早期の資産移転と有効活用を通じた経済社会の活性化の観点から導入されたものである。選択後は生前贈与か相続かによって税負担は変わらず、資産移転の時期に中立的な仕組みとなっており、暦年課税との選択制は維持しつつ、同制度の使い勝手を向上させる。具体的には、申告等に係る事務負担を軽減する等の観点から、相続時精算課税においても、暦年課税と同水準の基礎控除を創設する。これにより、生前にまとまった財産を贈与しにくかった者にとっても、相続時精算課税を活用することで、次世代に資産を移転しやすい税制となる。」(※令和5年度税制改正大綱16頁参照)
今回、注目すべきは、後述予定の暦年課税制度と相続時精算課税制度の選択制は従来と変わらず維持したうえで、相続時精算課税制度においても暦年課税制度と同様に基礎控除額110万円が創設され、さらに当該金額以下であれば、贈与税の確定申告を不要にするといった点です。
この改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用します。
したがって、例えば令和6年中に1,000万円、令和7年中に500万円、それぞれ贈与を受けた場合の贈与税の課税対象となる税金は、令和6年について890万円(1,000万円△110万円)、令和7年について390万円(500万円△110万円)となり、かつ、相続時に精算(持ち戻し)対象となる金額も890万円、390万円となる点が大きな改正点です。これを図示すると下記の図のとおりとなります。
(2)暦年課税制度について
次に暦年課税制度については、「暦年課税における相続前贈与の加算」というタイトルで、税制改正大綱では下記のとおり紹介されています。
「現行、相続開始前3年以内に受けた贈与は相続財産に加算することとなっている。暦年課税においても、資産移転の時期に対する中立性を高めていく観点から、相続財産に加算する期間を7年に延長する。その際、過去に受けた贈与の記録・管理に係る事務負担を軽減する観点から、延長した期間(4年間)に受けた贈与のうち一定額については、相続財産に加算しないこととする。」(※令和5年度税制改正大綱17頁参照)
この部分については、さらに第二の具体的内容として下記のとおり記載されています。
「相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該相続の開始前7年以内(現行:3年以内)に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、当該贈与により取得した財産の価額(当該財産のうち当該相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、当該財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとする。
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用する。」(※令和5年度税制改正大綱42頁参照)
贈与税の暦年課税制度は、一暦年間で受贈者が贈与を受けた総額が110万円までであれば贈与税は元々課税されず、それを超える部分の金額に対して、超過累進税率による税率を乗じて贈与税額を計算していく考え方です。そして、相続又は遺贈により財産を取得した者が、その相続の開始前3年以内に被相続人から贈与を受けていた部分については、いわゆる「生前贈与加算」として、相続税の計算上、持ち戻しの対象となっていました。
一方で、令和3年度税制改正大綱において、現行の贈与税や相続税の課税について、下記のような問題点が指摘されていました。
「わが国の贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から、高い税率が設定されており、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある。一方で、現在の税率構造では、富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を防止するには限界がある。
諸外国では、一定期間の贈与や相続を累積して課税すること等により、資産の移転のタイミング等にかかわらず、税負担が一定となり、同時に意図的な税負担の回避も防止されるような工夫が講じられている。
今後、こうした諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。」(※令和3年度税制改正大綱18頁参照)
このような富裕層による財産の分割贈与を通じた負担回避を図るため、今般、「生前贈与加算」の対象期間が3年から7年に大幅に伸びたものと考えられます。
一方で、今回の改正により3年より前の伸びた期間の生前贈与加算については、その合計額から100万円を控除した金額が対象となる旨が記載されています。これを図示すると下記の図のとおりとなります。
以上のように、令和5年度税制改正において、相続時精算課税制度と暦年課税制度が大きく改正されました。
特に相続時精算課税制度は、一度選択すると暦年課税制度には戻せなくなってしまうため、現状、ほとんどの贈与税の申告は暦年課税制度で提出されていると考えられます。実際、相続時精算課税制度を利用するメリットは、不動産収益物件を贈与して、家賃収入を実質的に贈与者から受贈者へ移転させていくケースや自社株式(取引相場のない株式)を計画的に後継者へ移転させていくような場合に限定されています。一方、単純に現金を贈与したい場合に相続時精算課税制度を選択するようなことは一般的には行われていなかったと思われます。
ところが、今回の税制改正が実現すると、新たに相続時精算課税制度に基礎控除額110万円が創設され、かつ、110万円部分は精算(持ち戻し)対象とならなくなるため、暦年課税制度から相続時精算課税制度へ移行する納税者が増えるのではと考えられます。
例年6月頃に各種税制の通達が公表されます。適用は令和6年1月1日以後の贈与においてであるが、令和5年中から準備を進めておくことが肝要です。
<適格請求書発行事業者の登録件数および登録申請の延長について>
令和5年3月10日、国税庁ウェブサイトに「適格請求書発行事業者の登録件数及び登録申請書の処理期間について」が掲載されました。
その内容によると、令和5年2月末時点での適格請求書発行事業者として登録されている件数は2,414,643件で、登録申請書の提出件数は約270万件ということです。この件数の差である約28万件強は処理中ということとなります。具体的な適格請求書発行事業者の登録件数(インボイス登録件数)の推移は下記の図のとおりです。
※国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/kensu_kikan.pdf」参照。
その登録申請書の処理期間についても公表され、e-Tax提出の場合は約3週間、書面提出の場合は約2か月とのことです。所得税等の還付金の処理と同様、e-Taxのほうがかなりスピーディーに処理されるようです。
このインボイスの登録申請について、施行日(令和5年10月1日)に登録を受けようとする事業者の申請期限は令和5年3月31日でした。しかし、登録申請が思うように伸びていない状況もあり、令和5年度の税制改正大綱において、下記のとおり方針が示されました。
※国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_shinei.htm」参照。
この税制改正大綱によると、施行日(令和5年10月1日)に登録を受けようとする事業者が申請期限である令和5年3月31日後に提出する登録申請書の取扱いについては、この閣議決定に基づき、当該事業者が令和5年4月1日以後に困難な事情の記載がない登録申請書が提出されたとしても、令和5年9月30日までの申請については、インボイス制度が開始する令和5年10月1日を登録開始日として登録されることとなります。
ただ、先にも触れたとおり、登録申請から登録通知書の送付までは一定期間を要するため、自社でインボイスを発行する予定の事業者は早めに提出することをお勧めします。
<令和3年分 相続税の申告事績の概要について
令和4年12月、国税庁ウェブサイトに「令和3年分 相続税の申告事績の概要について」が掲載されました。
相続税の申告事績については、例年12月に前年分の内容が公表されます。平成27年1月1日以後の相続発生分から、基礎控除が大幅に引き上げられ、相続税の課税割合がそれまでの平均4%台から8%台と2倍となり注目されてきましたが、令和3年分で初めて9%を超えました。
今回は、改めて毎年公表されている相続税の申告事績についての内容を考察してみていくこととします。
まず、令和3年分における被相続人数(死亡者数)は1,439,856人(前年対比104.9%)でした。そのうち、相続税の申告書の提出に係る被相続人は132,475人(同111.6%)、その課税割合が約9.3%でした。
これを図に表すと下記のとおりとなります。
※国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2022/sozoku_shinkoku/pdf/sozoku_shinkoku.pdf」参照。
冒頭でも紹介しましたが、平成25年度の税制改正により、平成27年1月1日以後に発生した相続から、それまでの基礎控除額が4割下がりました。
平成26年12月31日以前 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
⇓
平成27年1月1日以後 3,000万円+600万円×法定相続人の数
これにより、相続税の課税割合が平成26年4.4%に対して、平成27年は8.0%と2倍になりました。なお、東京国税局管内でも平成26年7.5%に対して平成27年は12.7%に、大阪国税局管内でも平成26年4.8%に対して平成27年は8.2%に、名古屋国税局管内でも平成26年6.1%に対して平成27年は11.0%と、どの地域でも1.5倍から2倍近くとなっています。それだけ、基礎控除引き下げによるインパクトが大きかったことが読み取れます。
次に、相続税の申告書の提出に係る課税価格の総額は18兆5,774億円(前年対比113.3%)、申告税額の総額は2兆4,421億円(同116.8%)でした。
これも図に表すと下記のとおりとなります。
ここでも、大きな特徴は平成26年から平成27年にかけて大きく課税価格の総額が増加している点です。また、今回初めて9%を超えた令和3年分も前年対比113.3%と初めて18兆円を超えました。この相続税の課税価格の総額については、死亡者数が増えると相続税の申告書の提出に係る被相続人数も比例的に増えるため、その総額が増えていくこととなります。なお、死亡者数は同発表によると「人口動態統計」(厚生労働省)のデータに基づいています。
この厚生労働省による人口動態統計は、直近10年は下記のように推移しており、これから段階の世代が超高齢期を迎え、引き続き増えていくことが予想されます。
※厚生労働省ウェブサイト「https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei21/dl/15_all.pdf」参照。
本稿では特に平成25年度税制改正による影響について触れてきましたが、令和5年度税制改正において、相続税の生前贈与加算の考え方が大きく改正になる予定です。また、別の機会でも触れているとおり、マンションを中心とした相続税評価額の考え方も今後改正される可能性があります。税制改正による影響を考慮しながら、相続対策も効果的に行っていく必要に迫られています。
<マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について>
令和5年1月30日に、マンションに係る財産評価基本通達に関する第1回有識者会議が開催されました。
これは、令和4年4月19日の最高裁判決(国側勝訴)の判決を受けて、令和5年度税制改正大綱において、「円滑・適正な納税のための環境整備」として、下記のとおり検討事項とされたことが起因しています。
第1回の有識者会議においては、本検討事項の冒頭に記載の「市場での売買価額と通達に基づく相続税評価額とが大きく乖離しているケース」について幾つかの事例が紹介されました。
※国税庁報道発表資料「https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023001-051.pdf」参照。
乖離率については、市場価格に対してどのくらいの相続税評価額の圧縮があるかという点でみられるケースもあり、それぞれ①については31.26%、②については42.37%、③については、42.59%となります。
①については、いわゆるタワーマンションに該当し、圧縮率(乖離率)がとりわけ大きいことが読み取れます。
そもそもマンションの相続税評価の考え方については、家屋については固定資産税評価額で評価する点は他の家屋と共通しているものの土地の評価におい敷地権の考え方を反映するため、とりわけ圧縮率(乖離率)が大きくなる結果となります。特にタワーマンションについては、狭い敷地に高い家屋を建築するため、一部屋あたりの敷地権割合は極めて小さくなります。これを図示したものが下記のとおりです。
※国税庁報道発表資料「https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023001-051.pdf」参照。
一方、有識者会議においては「価格乖離の問題は、タワーマンションだけではなくマンション全体にいえるのではないか。そうすると、時価主義の観点からは、見直しの範囲を一部のタワーマンションに限定すべきではない。」と紹介されていて、マンション全体について検討していく旨が触れられています。
そして、税制改正大綱の検討事項として掲げられている「現状を放置すれば、マンションの相続税評価額が個別に判断されることもあり、納税者の予見可能性を確保する必要もあります。」については、いわゆる財産評価基本通達6項(総則6項)との関係が極めて重要です。すなわち、マンションの相続税評価額が個別に判断されてしまうと、総則6項がいつ発動されるか分からないという点で納税者の予見可能性が著しく害されることとなります。実際に近年の総則6項の適用件数は下記図のとおりかなり限定的な運用となっています。
※国税庁報道発表資料「https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023001-051.pdf」参照。
以上のように、今後も定期的に有識者会議は開かれ、マンションの相続税評価額について、今後、何かしらの通達改正が行われる可能性が高いです。
例年、その年度の税制改正大綱は、通常国会を経て3月末ごろに法案として成立します。また、税務署の定期異動日が毎年7月10日のため、それに先立って、通達改正などが6月から7月にかけて行われます。
本年の6月から7月ごろまでにまとまる可能性は私見では薄いと考えていますが、有識者会議の動きについては、引き続き注視してください。
<令和3年分の国外財産調書の提出状況について
令和5年1月31日、国税庁ウェブサイトに「令和3年分の国外財産調書の提出状況について」が掲載されました。
国外財産調書制度は、近年、国外財産の保有が増加傾向にある中で、国外財産に係る課税の適正化が喫緊の課題となっていることなどを背景として、国外財産を保有する方からその保有する国外財産について申告していただく仕組みであり、平成24年度の税制改正により導入され、平成26年1月から施行されています。
具体的には、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を保有する居住者の方(非永住者の方を除く。)は、その年の翌年の3月15日までに、当該国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を、所轄税務署長に提出しなければならないこととされています。
国外財産調書制度は、財産債務調書制度と異なり、国外財産調書を提出しなかった場合の罰則規定(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が設けられている点が特徴です。
ここでは、令和5年1月31日に公開された令和3年分の国外財産調書の提出状況について解説していきます。
まず、令和3年分の国外財産調書の総提出件数は、12,109件であり、東京局(7,755件)、大阪局(1,737件)、名古屋局(858件)で、全体の約85.5%を占めています。
国外財産調書に記載された総財産額は、5兆6,364億円であり、東京局のみで約760%(4兆2,829億円)に達しています。
財産の種類別総額は下記のとおりであるが、有価証券が突出していることが読み取れます。
※国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0022012-042.pdf」参照。
有価証券が多い理由は、外資系の証券会社を通じて外国銘柄の有価證券を所有している割合が多いことを示しています。
国外財産調書制度においては、適正な提出を確保するための特例措置が設けられており、令和3事務年度における所得税及び相続税の実地調査の結果、特例措置を適用した件数及び対象となった増差所得等金額は次のとおりです。
※国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0022012-042.pdf」参照。
国外財産調書の記載漏れや提出がないことにより、加重措置を受けている納税者が多いことが読み取れます。
令和4年分の所得税の確定申告期限が令和5年3月15日となっているため、国外財産調書を提出する必要がある納税者は、併せて準備されることをお勧めします。
<令和4年分贈与税の申告について
令和4年12月9日、国税庁ウェブサイトに「「令和4年分贈与税の申告のしかた」と「令和4年分贈与税の申告書等の様式一覧」が掲載されました。
令和4年分の贈与税の確定申告期間は、令和5年2月1日(水)から令和5年3月15日(水)までの予定であり、所得税の確定申告に先立って開始されます。
贈与税の確定申告は、所得税と同様に一歴年間(1月1日から12月31日まで)の期間中に贈与をうけた受贈者が、その受贈者の住所地がある所轄の税務署へ提出するものです。贈与税の計算方法には、暦年課税制度と相続時精算課税制度の2種類があり、暦年課税制度において、一歴年間における受贈者が贈与を受けた金額が110万円(基礎控除額)以下であれば、確定申告は不要となります。
一方で、相続時精算課税制度を選択する場合には、「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があり、この届出書の提出後は、その贈与者との間の贈与については、暦年課税制度を選択することはできません。
これを図示すると下記のとおりとなります。
※国税庁ウェブサイト「https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/tebiki2022/pdf/all.pdf」参照
また、贈与税には暦年課税制度と相続時精算課税制度とは別に様々な特例制度が存在します。特に下記の三種類は毎年税制改正大綱でも論点としてあげられる項目です。
◎「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」および「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」
◎「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税(教育資金の非課税)」
◎「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税(結婚・子育て資金の非課税)」
これらのうち、「教育資金の非課税」と「結婚・子育て資金の非課税」については、受贈者本人が確定申告を行うのではなく、それぞれの非課税口座を開設した金融機関を経由して、確定申告手続きを行うこととなります。受贈者本人が税務署へ訪問しても受け付けてもらえないので留意する必要があります。
また、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」および「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」については、いわゆる宥恕規定(やむを得ない事情があると認めるときに、後日提出してもその規定の適用を認めるという規定)が存在しないため、確定申告期限である令和5年3月15日(水)までの提出を厳守する必要があります。
新規に住宅を購入された方は、一般的に本特例と所得税の住宅ローン控除の制度を利用する方が多いので、住宅ローン控除のような還付制度ではないため、贈与税が課税されないためにも特に注意を要します。国税庁のウェブサイトには、下記の図のとおり、適用を受けようとする特例の種類と住宅用の家屋の取得等の態様ごとにチェックシートが用意されているため、要件の確認と共に添付書類などもご確認ください。
<令和4年分所得税の申告について
令和5年1月4日、国税庁ウェブサイトに「令和4年分 確定申告特集」が開設された旨の情報がアップされました。
令和4年分の所得税・贈与税の申告・納付は令和5年3月15日(水)までであり、個人事業者の消費税等の申告・納付は令和5年3月31日(金)までの予定です。新型コロナウィルス感染症拡大の影響により令和元年分から令和3年分については、それぞれ特例的措置が設けられましたが、本原稿執筆時点では特に定められていません。
毎年、「確定申告特集」は大変使い勝手がよくなっていっていますが、今回は、大きく「よく見られているページ」、「トピックス」に続き、メインの「令和4年分 確定申告書等の作成」、「所得税等の相談」と続き、最後に「確定申告情報」と並んでいます。
※国税庁ウェブサイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/index.htm 参照
先日、総務省の発表によりマイナンバーカードの申請枚数が約8300万枚となり、運転免許証の枚数を超えたことがニュースになりました。「トピックス」にある「スマホとマイナンバーカードでe-TAX!」を是非参照し、税務署への直接持ち込みや郵送をせずに電子での申告をチャレンジされてみるのも良いかと思われます。
メインの「令和4年分 確定申告書等の作成」において確定申告書を作成していくと、昨年までとの大きな変更点に気づきます。それは、従来の「確定申告書A」と「確定申告書B」が廃止され、一つの申告書に統合されているということです。
昨年までは、特に申告として多い所得区分である「給与所得」、「雑所得」、「配当所得」、「一時所得」のみの場合の方用の申告として、「確定申告書A」という様式が用意されていました。それが、令和4年分からは廃止され、すべての所得区分が記載された「確定申告書B」へ一本化されました。したがって、最初の段階で、どちらの申告書で作成したらよいか悩むことはなくなりました。実際の様式については、こちらのウェブサイトをご参照ください。
※国税庁ウェブサイト
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/syotoku/r04.htm 参照
また、令和4年分の確定申告書の第一表に、新たに「公金受取口座登録の同意」と「公金受取口座の利用」という部分が追加されました。従来から所得税等が還付となる場合には、「還付される税金の受取場所」を記載する欄があり、こちらに還付先口座情報を記載する必要がありました。これを活用して、個人が金融機関に持つ預貯金口座を給付金等の受取のための口座として国に任意で登録すると、緊急時の給付金等の申請の際に手続や添付書類が省略できるといったマイナンバー(個人番号)関連制度が、「公金受取口座登録制度」です。こちらのウェブサイトも参考に記載しておきます。
※デジタル庁ウェブサイト
https://www.digital.go.jp/policies/account_registration/ 参照
最後に、同じく確定申告書第一表に新たに、「振替継続希望」欄が設けられました。これは、従来は、納税地に異動(引っ越し)があった場合に申告書の提出先税務署が変更になった際に、「異動届」などを提出していないと振替納税手続きを新たに行わなければなりませんでしたが、今後は、こちらの「振替継続希望」欄にチェックを入れておくと、自動で振替納税が継続できるように整備されたものです。特に個人事業者の所得税・消費税の納税地に異動があった場合や住所地とは別に事業所などの所在地を納税地とする場合に、従来は、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を提出する必要がありましたが、令和5年1月1日以後はその提出が不要となりました。このような改正に対応するための措置であるとも考えられます。
以上のように、令和4年分の確定申告書は令和3年分までのものとは異なる点が散見されます。先に紹介したウェブサイトを参照し、早めに申告の準備に取り掛かることを推奨します。