事務所名 | 分銅会計事務所 |
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所長名 | 代表税理士 分銅雅一 (登録番号第123843号) |
所在地 | 〒160-0022 |
電話番号 | 03-6380-1093 |
FAX番号 | 03-6380-1094 |
業務内容 | 自社株式と不動産の承継に関連する 1.相続税・譲渡所得税の税務申告 2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援 3.個人及び法人の税務顧問 4.セミナー及び研修の講師 |
適格請求書発行事業者登録番号 |
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<消費税の総額表示と会計処理について>
(1)消費税の総額表示
平成16年4月1日から、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合には、税込価格(消費税額及び地方消費税額を含めた価格)を表示することが義務付けられています(総額表示義務)。これは、税抜価格のみの表示では、レジで請求されるまで最終的にいくら支払えばいいのか分りにくく、また、同一の商品・サービスでありながら「税抜表示」の事業者と「税込表示」の事業者が混在しているため価格の比較がしづらいといったことを踏まえ、事前に「消費税額を含む価格」を一目で分かるようにするという消費者の利便性に配慮する観点から実施されたものです。
一方で、消費税及び地方消費税の税率が、下記のとおり変遷を遂げており、特に平成26年4月と令和元年10月にそれぞれ税率が引き上げられ、現在は軽減税率として8%も並行しています。消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保及び事業者による値札の貼り替え等の事務負担に配慮する観点から、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(平成25年法律第41号)により特例が設けられ、平成25年10月1日から令和3年3月31日までの間、一定の要件の下、税込価格を表示することを要しないこととされています。
この特例が、令和3年3月31日をもって失効し、4月1日以降においては、消費者に対して価格を表示する場合には、消費税法の規定に基づき、税込価格を表示することが必要となります。
<消費税率及び地方消費税率の推移>
(2)消費税の会計処理
消費税の会計処理については、税抜経理方式と税込経理方式の2種類があります。
①税抜経理方式
税抜経理方式は、消費税及び地方消費税(以下「消費税等」といいます。)の合計額を「仮払消費税等」と「仮受消費税等」という勘定科目を用いて、本体価格とは別の科目で処理する方法で、期末に確定した消費税額を「未払消費税等」に計上し、「仮払消費税等」と「仮受消費税等」との差額を「租税公課」または「雑収入」として計上します。
②税込経理方式
税込経理方式は、消費税等の合計額を本体価格に含めて処理する方法で、期末に確定した消費税額を「租税公課」と「未払消費税等」(還付の場合は、「消費税等還付未収入金」と「雑収入」)に計上する方法です。
ここで注意して頂きたいのが、上記(1)の消費税の総額表示と(2)の消費税の会計処理は関連性がないということです。つまり、消費税の総額表示が義務化されるからといって、消費税の会計処理が税込経理方式に一本化されるものではないということです。
むしろ留意すべき点は、「収益認識に関する会計基準」という別の会計基準の導入によって、上場企業を中心に消費税等の会計処理は、税込経理方式を採用できなくなるという点です。
「収益認識に関する会計基準」は、企業会計基準委員会より平成30年3月30日に公表されました。この会計基準は、早期適用が認められてきましたが、令和3年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から強制的に適用が開始されます。
この会計基準の第47項に、下記のとおり、取引価格に関する定めがあり、当該取引価格をもって収益計上額とすることとしています。
(3)まとめ
これまで確認してきたように、令和3年4月1日から消費税の会計処理や表示について、大きな変更が予定されています。特に、「収益認識に関する会計基準」の適用対象となる上場企業やその子会社を中心とした監査対象企業については、早急に準備していく必要があります。
<所得控除(基礎控除)について>
令和2年分(以下「本年分」といいます。)の所得税の確定申告が佳境を迎えているかと思われますが、本年分から所得控除のうち基礎控除につきまして、一律38万円の控除額から合計所得金額に応じた控除額に改正となっています。具体的には、合計所得金額が2,400万円以下の場合、控除額が10万円増えて48万円の控除額となりますが、合計所得金額が2,400万円を超える場合、下記のように段階的に控除額が縮小していきます。
※「国税庁タックスアンサーNo.1199」参照
会社員など、勤務先の会社において年末調整済みの給与所得の源泉徴収票を受け取っている場合、会社からの収入金額(給与額)に応じてこの合計所得金額が決定され、基礎控除額48万円の控除を受けているケースが多いかと思われますが、その後、給与所得以外の所得が存在するため、別途、確定申告を行う場合、上記の合計所得金額が変化することになり、基礎控除額が場合によっては0円となるケースもあるため注意を要します。
特に、不動産や株式の譲渡所得などがある場合、合計所得金額が本年分だけ異常に高くなることが考えられます。
なお、ここでいう「合計所得金額」とは、具体的には、下記のように定義されています。次の①と②の合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額です。
※申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長(短)期譲渡所得については特別控除前の金額)の合計額を加算した金額です。
また、同様に注意を要するのが、配偶者控除についてです。配偶者控除についても平成30年分の確定申告から納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、適用を受けることができないようになっています。配偶者控除額の金額については、下記のとおりです。
※老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。
なお、配偶者が障害者の場合には、配偶者控除の他に障害者控除27万円(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)が控除できます。
※「国税庁タックスアンサーNo.1191」参照
例えば、本年分の給与所得については1,000万円以下で配偶者の合計所得金額が48万円(令和元年分以前は38万円)以下の場合、配偶者控除38万円(老人控除対象配偶者は48万円)が受けられるため、給与所得の源泉徴収票には配偶者控除の適用を受けていたものの、他の所得があり確定申告書を改めて作成したところ、合計所得金額が1,000万円を超えることとなった場合、配偶者控除は受けられないこととなります。
この配偶者控除につきましては、平成30年分から既に合計所得金額に応じた控除額に改正されていますが、これに加えて本年分から基礎控除についても同様に、合計所得金額に応じた控除額に改正されています。国税庁の確定申告書作成コーナーや各種税務ソフトを利用して作成している場合には、これらの合計所得金額などを自動判定して適用の有無が確認できるかと思われますが、特に手書きで確定申告書を作成して、紙媒体での提出を検討されている方は、特にご留意ください。