事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

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ブログ 2021年4月23日

令和3年度の固定資産税の評価替えについて

 令和3年度の固定資産税の通知が、不動産の所有者に対して各自治体から送付されているころかと思われます。固定資産税の評価替えは3年に一度行われ、令和3年度は評価替えの年に当たります。地域によっては、平成30年度に比べて上昇している地域もあるかと思われますが、現下の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、令和3年度の税制改正において、固定資産税の評価額が上昇した場合であっても、令和2年度の価格を据え置く改正がなされています。

一方、この改正はあくまで固定資産税や都市計画税についての内容であるため、相続税や不動産取得税、登録免許税などについては、評価替え後の固定資産税の評価額を利用して計算することとなります。

今回は、令和3年度の税制改正の具体的内容について紹介していきます。

 

1)固定資産税、都市計画税の課税方法

固定資産税や都市計画税は、その年の11日時点で土地や家屋を所有している者に対して課されるものであり、その一般的な計算式は下記のとおりです。

・固定資産税の税額=課税標準額×1.4

・都市計画税の税額=課税標準額×0.3

このうち、特に土地についての固定資産税および都市計画税は、原則として、価格または特例額(住宅用地の場合は特例措置を適用した額〔本則課税標準額〕)を基に税額を算出しています。

しかし、土地の固定資産税および都市計画税は、評価替えによる税額の急激な上昇を抑える等の理由により負担調整措置を適用し、評価額よりも低い課税標準額で税額を算出しています。

平成9年度から、この負担調整措置は「負担水準の均衡化」という観点から、一定の負担水準に応じて税負担を調整することとなりました。また、平成18年度から、負担水準のばらつきを解消するため、負担水準の高い土地の税負担を抑えつつ、より一層の「負担水準の均衡化」を促進する措置として、新たな負担調整措置が講じられることとなりました。

 

2)令和3年度の税制改正の内容

令和3年度の税制改正において、令和3年度評価替えを起因とする税額の上昇を抑えるため、前年度と比較して価格が上昇する場合に、前年度課税標準額が据え置かれることとなりました。

具体的な取り扱いとしては、下記の二点です。


  1. 宅地等および農地の負担調整措置については、令和3年度から令和5年度までの間、据置年度において価格の下落修正を行う措置並びに商業地等に係る条例減額制度および税負担急増土地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置の仕組みを継続する。

  2. 上記取り扱いの上で、令和3年度限りの措置として、宅地等(商業地等は負担水準が60%未満の土地に限り、商業地等以外の宅地等は負担水準が100%未満の土地に限る)および農地(負担水準が100%未満の土地に限る)については、令和3年度の課税標準額を令和2年度の課税標準額と同額とする。

なお、この取り扱いは、都市計画税についても同様の改正がなされています。したがって、固定資産税と都市計画税については、令和3年度の課税標準の金額が令和2年度よりも大きくなったとしても、固定資産税の課税標準は令和2年度のものが据え置かれることとなります。

 

3)相続税、不動産取得税および登録免許税の課税方法

上記(2)の改正は、あくまで固定資産税と都市計画税についての内容であるため、相続税や不動産取得税、登録免許税は影響を受けないこととなります。裏を返すと、令和3年度の評価替えに伴い、価格が上昇した地域については、当該上昇した価格を基に税額が決定されることとなります。

そもそも、これらの税金は、固定資産税や都市計画税と異なり、課税標準の特例は存在せず、固定資産税の価格自体を元に計算することとなっています。

その具体的な計算方法は、下記のとおりです。

・土地の相続税評価額(倍率地域)=固定資産税の価格×倍率

・登録免許税=固定資産税の価格×一定税率

・不動産取得税=固定資産税の価格※×3/1,000

  • 令和6331日までに宅地等(宅地及び宅地評価された土地)を取得した場合、当該土地の課税標準額は価格の1/2となります。

 

4)まとめ

令和3年度は、固定資産税の評価替えの年となりますが、固定資産税の通知が届いたら、価格(評価額)の部分のみならず、固定資産税や都市計画税の課税標準がどのような取り扱いとなっているか注目して頂ければと思います。

ブログ 2021年4月9日

<事業再構築補助金について>

 

 令和2年度の第3次補正予算において11,485億円が計上されている事業再構築補助金については、326日から公募開始されており、415日から具体的な申請受付が開始される予定です。

 事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。

今回は、この事業再構築補助金についての概要を紹介します。

 

1)主な申請要件

 ① 売上減少要件

申請前の直近6ヵ月間のうち、任意の3ヵ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または202013月)の同3ヵ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。

 ② 事業再構築取組要件

事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う必要があり、その具体的な指針が経済産業省から詳細に明示されています。

  <https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/pdf/shishin.pdf?0329

 ③ 認定経営革新等支援機関との事業計画策定要件

事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定しますが、補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する必要があります。

また、具体的な事業計画の策定にあたっては、補助事業終了後35年で付加価値額の年率平均3.0%(グローバルV字回復枠は5.0以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(同上5.0以上増加の達成を見込む内容とする必要があります。

 

2)具体的な補助額および補助率

  具体的な補助額および補助率については、下記の表のとおりです。

3)補助対象経費

補助対象経費は、この事業の対象として明確に区別できるものである必要があり、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資をしていく必要があります。

具体例として、下記のようなものが挙げられています。

4)事業計画の策定

補助金の審査は、事業計画を基に行われるため、採択されるためには、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要となります。

 具体的な事業計画に含めるべきポイントの例として、下記のようなものが挙げられています。

・現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性

・事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)

・事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法

・実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)

 これらの事業計画を対象事業者が自身で策定するのは大変困難であるため、実際の事業計画策定に際しては、認定経営革新等支援機関と相談しながら行っていく必要があります。認定経営革新等支援機関には、事業計画の策定段階のみならず、事業実施の段階でのアドバイスやフォローアップも期待されています。

 なお、認定経営革新等支援機関については、中小企業庁のウェブサイトで検索することが可能です。

 

5)補助金の収入計上時期

補助金の収入計上時期については、国税庁のウェブサイトに令和23月に掲載されている「国税における新型コロナウィルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取り厚いに関するFAQ」をご参照ください。

  • 国税庁ウェブサイト

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/pdf/faq.pdf

具体的には、小規模事業者持続化補助金などと同様に支給決定時または経費発生時に計上することになると考えられます。特に、事業再構築補助金については、交付決定後に補助事業期間として12ヵ月または14ヵ月間が設定されており、この期間に設備の購入等を行い、その後、実績報告を行い確定検査の後、補助額が確定、補助金の支払いとなるため、支給(交付)決定から実際の補助金の支払いまでの期間の間に決算を跨ぐ可能性が高くなります。この点については、顧問税理士などと相談しながら具体的処理について慎重に行っていく必要があります。

 

これまで確認してきたように、予算額が大きいため大変注目されている補助金ではありますが、第1回目の申請受付の応募締め切りが430日の予定となっています。また、補助金申請にあたり、事業者自身がGビズIDを利用して電子申請していく必要があります。

このGビズIDの付与についても期間を要するため、簡便的な申請が検討されているとはいえ、早めに準備を進める必要があります。また、補助金の金額ありきで安易な事業計画を立てるのではなく、コロナ禍における事業転換などを真剣に検討した上で、上手く事業再構築補助金の事業を活用して頂ければ幸甚です。