事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

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ブログ 2021年5月28日

<祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらましについて>

 

 令和3521日、国税庁のウェブサイトに「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」が公表されました。

これは、令和3年度の税制改正において、祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度(以下「教育資金の非課税制度」という)の適用期限が、令和5331日まで2年延長されるとともに、下記のとおり改正されたことによるものです。

 

【令和3年度税制改正による主な改正事項】

(1)信託等をした日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合(その死亡の日において、受贈者が次の①~③のいずれかに該当する場合を除きます。)において、受贈者がその贈与者から信託等により取得した信託受益権等について、この非課税制度の適用を受けたことがあるときは、その死亡の日までの年数にかかわらず、その死亡の日における管理残額を、その受贈者がその贈与者から相続等により取得したものとみなします。

23歳未満である場合

② 学校等に在学している場合

③ 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合

上記②または③については、その旨を明らかにする書類を贈与者が死亡した旨の届出と併せて金融機関等の営業所等に提出等をした場合に限ります。

(2)上記(1)により相続等により取得したものとみなされる管理残額について、その受贈者が贈与者の子以外(孫など)の者である場合は、その贈与者の管理残額に対応する相続税額について、相続税額の2割加算の対象とされます。

 

<適用時期>

令和3年4月1日以後に信託等により取得する信託受益権等に係る相続税および贈与税について適用されます。

特に、上記(1)と(2)については、拠出時期によって相続税課税が、下記のとおり変遷しています。

 

(参考)提出時期による相続税課税の比較

 今回の改正の主な論点は、教育資金の非課税制度を実施後に贈与者が死亡した場合、上記(1)の①から③に該当しない場合には、相続税課税(相続税の加算)の対象となり、かつ、受贈者が孫などの場合には、相続税額の2割加算の対象となる点です。裏を返せば、教育資金の非課税制度を実施後に贈与者が死亡した場合、上記(1)の①から③に該当する場合には、相続税課税(相続税の加算)の対象とはなりません。

このうち、①はいわゆる4年制大学の卒業時点の年齢である22歳を想定しているものと考えられます。また、上記②については浪人して大学に入学した場合や大学院進学等をした場合が考えられます。さらに、③については、例えば資格取得に際して雇用保険の教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合が想定されます。

 いずれにしても、受贈者が30歳に達する日までに一括贈与の資金をどのように費消していくかがポイントとなります。今回の税制改正によって、一部相続税課税等の対象とはなるものの、資産移転の一つの方法としては依然として有効な活用方法であると考えられます。

 

ブログ 2021年5月14日

     <在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)について>


 令和3430日、国税庁のウェブサイトに「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」が公表されました。これは、令和31月に公表された内容に「在宅勤務者に対する食券の支給」を追加したものです。

 新型コロナウィルス感染拡大の影響により、各地で緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置が発出されています。特に最近は、変異型ウィルスが猛威を振るっている中、国としても積極的に在宅勤務(テレワーク)を推奨しています。在宅勤務を進める際に、在宅勤務に係る事務用品等の支給や通信費、電気料金等を企業で負担するケースが考えられます。

 

このFAQは、主に源泉所得税関係についての内容ですが、企業における経理処理にも関係するものと考えられます。特に、給与として処理される部分については、毎月源泉徴収が必要となり、その徴収した源泉所得税については翌月10日に納付する必要が生じます。また、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、源泉徴収した所得税および復興特別所得税を、半年分まとめて納めることができる特例があります。この場合の特例の期限が710日であるため、上期の1月から6月支払分の集計等を随時進めていく必要があります(なお、7月から12月支払分は翌年120日が納期限です)。

 

ここでポイントになるのが、源泉徴収をする必要があるのか、つまり給与処理なのかそうでないのかがポイントとなります。

これらをFAQに合わせて一覧にまとめたのが、下記の図です。
     

 まず、「在宅勤務手当(FAQNo1)については、一般的に渡切支給として実費精算されない性格と考えられるため、通常の基本給と同様に、給与課税となり給料手当として源泉徴収も必要となります。

それ以外の内容については、業務に起因して実費相当額の精算をするかどうかによって異なります。実費相当額の精算がされないものについては、いわゆる家事費として社員の個人的な経費となるため、企業において経費処理は当然認められません。実費相当額の精算がされるもののうち、業務使用部分についての判断基準が不明確であるため、FAQにおいてその判断基準が示されています。

 事務用品等については、いわゆるパソコンや複合機、携帯やモバイル通信機器が考えられます。FAQでは、これらの所有権が従業員に移転する場合には、従業員に対する現物給与として課税する必要があるとしています。一方、あくまでこれらの事務用品等を貸与しているに過ぎない場合には、消耗品費や備品等として経費処理が認められます。なお、実際の処理上は、少額減価償却資産や一括償却資産も考慮して費用処理か資産処理かを判断する必要があります。

 通信費や電気料金といった役務サービス部分については、さらに業務使用部分の判断基準が不明確なため、より具体的な計算方法をFAQで定めています。計算の詳細は触れないが、併せて確認頂ければと思います。

 

 以上のように、源泉所得税が関係するかどうかは給与課税となるかどうかによって判断が異なるため、在宅勤務(テレワーク)を検討する際には、各企業において、その判断指針等を明確にしておくことが肝要です。