事務所名 | 分銅会計事務所 |
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所長名 | 代表税理士 分銅雅一 (登録番号第123843号) |
所在地 | 〒160-0022 |
電話番号 | 03-6380-1093 |
FAX番号 | 03-6380-1094 |
業務内容 | 自社株式と不動産の承継に関連する 1.相続税・譲渡所得税の税務申告 2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援 3.個人及び法人の税務顧問 4.セミナー及び研修の講師 |
適格請求書発行事業者登録番号 |
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<税務行政のデジタル・トランスフォーメーションについて>
令和3年6月11日に、国税庁のウェブサイトに「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0-」が公表されました。
デジタル・トランスフォーメーションを推進する動きが社会全体で高まっている中で、税務行政サービスにおいても、様々なデジタルの活用が模索されています。
今回公表された中で、あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会としての将来構想として、具体的に次の5つが打ち出されています。
・構想1:税務署に行かずにできる「確定申告(納付・還付)」(申告の簡便化)
・構想2:税務署に行かずにできる「申請・届出」(申請等の簡便化)
・構想3:税務署に行かずにできる「特例適用状況の確認等」(自己情報のオンライン確認)
・構想4:税務署に行かずにできる「相談」①(チャットボットの充実等)
・構想5:税務署に行かずにできる「相談」②(プッシュ型の情報配信)
これを一覧にすると、下記のような図になります。国税庁ウェブサイト
「https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/digitaltransformation/pdf/syouraizo2_r0306.pdf」
構想1の確定申告等のデジタル化は、電子申告の普及によってかなり進んでいますが、将来構想においては、さらに申告の簡便化を目指すとしています。実際、マイナポータルの活用などにより、証券会社の特定口座内の取引や生命保険料控除、住宅ローン控除などは令和3年1月から順次自動取り込みが開始されています。
また、構想2や構想3については、開業届などの申請や提出していたかの有無の確認については、閲覧申請しやすくなるといった見直しが入ったとはいえ、直接提出した税務署へ出向く必要があり、これらはデジタル化が進んでいるとはいえない状況です。特に、消費税の簡易課税制度の選択届出の状況や相続税の相続時精算課税制度などは、納税者が正しく認識していないケースもあるため、これらがマイナポータルなどで閲覧できるようになれば、納税者の利便は格段に高まると考えられます。
さらに、現在の国税庁の電話相談センターによる電話相談は、平日のコアタイムのみの対応のため構想4や構想5による内容が充実してくれば、24時間365日いつでも相談にのってもらえる仕組みとなることが期待できます。
以上のように、税務行政も様々なデジタル化へシフトしていくと考えられますが、これらの移行を後押しするのがマイナンバーカードの普及であると考えられます。マイナポータルを利用するためにはマイナンバーカードを取得して、カードのICチップに搭載されている公的個人認証を用いてログインする必要があるためです。新型コロナウィルス感染症拡大に伴う特別定額給付金の支給に際しても、マイナンバーカードの所有者かどうかで支給までの時間にかなりの差がみられました。通知カードからの切り替えが済んでいない方は早めにマイナンバーカードへの切り替えをお勧めします。
<消費税のインボイス制度について>
令和5年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が導入される予定です。このインボイス制度に関して、令和3年5月24日、国税庁のウェブサイトに、「インボイス制度特設サイト」がリニューアルされました。
インボイス制度とは、適格請求書(インボイス)を利用して、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られますが、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。
この登録申請書の受付開始は、本年(令和3年)10月1日から開始される予定であり、インボイス制度導入までのスケジュールは、下記のとおりです。このインボイス制度に対して、現在採用されている方式は、「区分記載請求書方式」といわれるものです。令和元年10月1日から現在の消費税率10%になったのと同時に、飲食料品を中心に軽減税率8%も導入されました。この8%と10%を区別するために導入されたのが、「区分記載請求書方式」です。この現行の方式が、令和5年10月からインボイス制度に大きく改正される予定です。
区分記載請求書方式とインボイス制度の記載事項の比較は、次のとおりです。
よって、売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければならず、交付したインボイスの写しも保存しておく必要があります。これは裏を返すと、売手が課税事業者ではなく免税事業者の場合には、登録事業者となることはできず、結果消費税を転嫁することもできないため、買手側は仕入税額控除を受けられないこととなります。
以上のように、令和5年10月1日以降に導入される予定のインボイス制度は、売手にとっても買手にとっても、消費税実務、強いては日々の取引実務において甚大な影響が生じる恐れがあります。令和元年10月の軽減税率導入の際もかなりの混乱が見受けられましたが、是非早いうちから、これらのインボイス制度特設サイトで情報を収集して、万全の準備をお願いします。