事務所名 | 分銅会計事務所 |
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所長名 | 代表税理士 分銅雅一 (登録番号第123843号) |
所在地 | 〒160-0022 |
電話番号 | 03-6380-1093 |
FAX番号 | 03-6380-1094 |
業務内容 | 自社株式と不動産の承継に関連する 1.相続税・譲渡所得税の税務申告 2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援 3.個人及び法人の税務顧問 4.セミナー及び研修の講師 |
適格請求書発行事業者登録番号 |
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<「暮らしの税情報」について>
令和3年7月9日、国税庁のウェブサイトに、令和3年度版のパンフレット「暮らしの税情報」が公表されました。「暮らしの税情報」は、例年、その年の税制改正を反映したものがこの時期に公表されますが、暮らしに関する税金の考え方が一覧となっており、概要を把握するのに有効な情報の一つです。「暮らしの税情報」に掲載されている具体的な項目は、下記に掲げるとおりです。
「税の基礎知識」
所得税や消費税の仕組み、帳簿書類の保存期間や青色申告制度について、その概要が記載されています。
「給与所得者と税」
給与所得の源泉徴収票の見方や、配偶者控除や扶養控除といった家族と税、会社員が退職した際の退職金と税について紹介されており、特に勤続年数5年以下の場合の退職所得の計算については、令和3年度の税制改正において新設されているため留意する必要があります。
「高齢者や障害者と税」
公的年金等の所得計算や年金所得者の確定申告不要制度といった高齢者と税、障害者と税については障害者本人が受けられる特例と障害者を扶養している場合に受けられる特例が分かりやすく整理されています。
「暮らしの中の税」
「医療費を支払ったとき」「保険と税」「寄附金を支出したとき」「災害等にあったとき」「株式・配当・利子と税」について、それぞれ紹介されています。
医療費を支払った際には、通常の医療費控除とは別にセルフメディケーション税制といった特例を選択することもできます。「保険と税」については、主として生命保険について紹介されていて、生命保険料控除について、平成24年1月1日以後に契約した新契約に関するものとそれ以前の旧契約に関するものが一覧となっています。寄付金はいわゆる「ふるさと納税」が人気となっていますが、一定の寄付金については、所得税において所得控除と税額控除が選択となっていて、いずれか有利な方法を適用することができます。また、昨年から続いている新型コロナウィルス感染症による影響で申告や納税の期限を延長したいとき、震災や風水害も日本各地で発生していますが、これらの災害が発生した場合の雑損控除などについても詳細に紹介されています。「株式・配当・利子と税」については、所得税法や租税特別措置法でかなり特殊な取り扱いが定められており、いわゆる「NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」についても一覧となっていて大変分かりすい表が掲載されています。
「不動産と税、贈与・相続と税」
大きく不動産に関する内容と贈与・相続に関する内容が紹介されています。不動産の中でもマイホームについては、取得・保有・売却の場面で多くの特例制度が存在します。マイホームで最も身近な特例制度であるいわゆる「住宅ローン控除」については、詳細に紹介されており、令和3年度の税制改正も反映されているため、制度の概要を把握するのに役立つと思われます。贈与については、贈与税の概要と3つの大きな非課税制度である「住宅取得等資金」「教育資金」「結婚・子育て資金」の各種特例について紹介されています。相続については、相続税の基礎控除や財産の代表的な宅地の評価についてその概要が紹介されています。
「申告と納税」
各税目の申告期限と納期限の一覧や5つの納付方法(電子納税、振替納税、クレジットカード納付、コンビニ納付、窓口納付)などが紹介されています。具体的な確定申告書の作成は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が大変充実しており、その案内や電子申告やスマホ申告についても踏み込んだ紹介がされています。
「その他」
下記に掲げる項目が、紹介されています。
・税に関する相談をするには
・行政文書・個人情報の開示を請求するには
・税務署長の処分に不服があるとき
・個人で事業を始めたとき
・法人を設立したとき
・公売に参加するには
<電話加入権の評価見直しについて>
令和3年7月1日、国税庁のウェブサイトに、令和3年の路線価が公表されました。
路線価に関するニュースは、別の様々なところで取り上げているので、本稿では割愛しますが、国税庁のウェブサイトから路線価図を調べる際には、「令和3年分財産評価基準を見る」の中で、各国税局管内の都道府県を検索することになります。この中に、路線価図以外の財産評価が記載されているのをご存じでしょうか。そして、その中の一つに、令和2年までは「電話加入権の評価」がありましたが、令和3年から当該項目が除かれているのをご存じでしょうか。
これは、令和3年5月31日に公表された「財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」の中で、電話加入権の評価が見直しされたことに端を発しています。
この一部改正の中で、従来の財産評価基本通達161および162が、下記のとおり見直され、国税局長の定める標準価額によって評価する定めが削除されました。そのため、7月1日に公表された「財産評価基準書」からも削除されたということです。
さらに、「『財産評価基本通達』の一部改正(案)の概要」のパブリックコメントの中で、申告に当たっては、評価通達128の定めに基づき一括して評価する家庭用動産等に、電話加入権を含めるとして差し支えないものとする予定であるとのコメントもあることから、今後は、電話加入権として別建てで評価をせずに、まとめて家庭用動産等として一括評価して問題ないとの見解が示されました。
なお、これらの改正は、令和3年1月1日以後の相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価から適用するとしています。
このような改正がされた趣旨としては、現下の社会経済情勢において、電話加入権の取引相場がもはや存在していないことにあります。そして、国税局長の定める標準価額も平成26年以降、一回線当たり「1,500円」と非常に低額となっていることやインターネット等の情報通信技術の発達等により、納税者において容易に売買実例価額を調べることも可能となっていること等を踏まえると、標準価額を定める必要性が乏しくなっていると考えられます。
これから令和3年に発生した相続や遺贈に係る相続税の確定申告書の提出が本格化するかと思われますが、路線価図で路線価を調べる際に、電話加入権の取扱いも改めて考慮して頂ければ幸甚です。