事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

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ブログ 2021年10月22日

<短期退職手当等Q&Aについて>

令和3年10月8日、国税庁のウェブサイトに、「短期退職手当等Q&A」が公表されました。これは、令和3年度の税制改正において、役員等以外の者として勤務した期間により計算した勤続年数が5年以下である者に対する退職手当等について、その退職所得金額の計算方法が改正されたことによるものです。

本改正は、令和4年1月1日から施行される予定ですが、今回は、改正の概要と短期退職手当等について概略を説明いたします。

(1)改正の概要

退職所得金額は、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その人の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされていました。

【退職所得金額の計算方法】

(退職手当等の収入金額 - 退職所得控除額) × 1/2=退職所得金額

特定役員退職手当等は除きます。

これが、令和3年度の税制改正により、短期勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるもので、特定役員退職手当等に該当しないものは「短期退職手当等」ということになり、その退職所得金額については、次のとおり計算することになりました。

大きなポイントとしては、収入金額から退職所得控除額を控除した金額が300万円超の場合に、その300万円を超える部分については、2分の1課税が適用されないことになった点です。

(2)「短期退職手当等」と「短期勤続年数」について

短期退職手当等とは、短期勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるもので、特定役員退職手当等に該当しないものをいいます。

この短期勤続年数とは、所得税法施行令第69条第1項第1号の規定に基づき計算した退職手当等に係る勤続期間(調整後勤続期間)のうち、役員等以外の者として勤務した期間により計算した勤続年数(1年未満の端数がある場合は、その端数を1年に切り上げたもの)が5年以下であるものをいいます。

したがって、短期勤続年数に該当するか否かは、原則として、退職手当等の支払者の下においてその退職手当等の支払の基因となった退職の日まで引き続き勤務した期間のうち、役員等以外の者として勤務した期間により計算した年数が5年以下か否かにより判定します(下記「参考図」参照)。

なお、短期勤続年数に該当するか否かの判定において、調整後勤続期間のうちに役員等勤続期間がある場合には、役員等以外の者として勤務した期間にはその役員等勤続期間を含むものとして、その判定を行います。

(3)源泉徴収税額について

退職手当等については、「退職所得の受給に関する申告書」の提出および源泉徴収税額の算出が適正に行われ、当該源泉徴収税額が天引きされていれば、確定申告時においては特に精算不要となりますが、この源泉徴収税額の算出が今回の改正によって複雑なものとなっています。

実際、国税庁のQ&Aでも[Q7]~[Q13]において、ケーススタディとして紹介されています。複数の会社から同一年に退職金の支給を受けた場合や使用人としての給与とは別に同一年に役員退職金の支給を受けた場合については、特に留意する必要があります。

 

(4)まとめ

今回の税制改正は、平成24年度税制改正において任期が短い役員の退職金について、2分の1課税が廃止されたことと平仄(ひょうそく)を合わせた内容となっています。高度経済成長下の時代においては、終身雇用制が前提としてありましたので、今回の改正のような事態はあまり想定されていませんでしたが、昨今は転職していくのが当然のような時代になりました。

実務においては、特に源泉徴収税額の部分が大変重要となるため、令和4年以降はご注意をお願いいたします。

ブログ 2021年10月8日

<消費税のインボイス制度について>

令和5101日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入される予定です。それに先立ち、令和3101日から適格請求書発行事業者の登録が開始されており、国税庁のウェブサイトで「適格請求書発行事業者公表サイト」が開設されています。今回は、改めてインボイス制度について概略を紹介します。

 

消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課される税であり、最終的に商品等を消費し、またはサービスの提供を受ける消費者が負担し、事業者が納付する点で間接税ともいわれます。具体的な消費税の負担と納付の流れは、下記のとおりです。

     

この消費税額は、原則として、課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を差し引いて(「仕入税額控除」といいます。)計算します。

現在、この仕入税額控除の要件については、「区分記載請求書等保存方式」という方式が採られていますが、令和5101日から「適格請求書等保存方式」に変更される予定であり、これを通称「インボイス制度」と呼んでいます。

この「適格請求書等保存方式」の大きな特徴として、買手が仕入税額控除の適用を受けるためには、帳簿のほか、売手から交付を受けた「適格請求書」等の保存が必要となります。そして、この「適格請求書」が発行(交付)することができるのは、税務署長等の登録を受けた「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書」による支払いでない限り、買手側で仕入税額控除が適用できないこととなります。つまり、「適格請求書」による支払いであれば仕入税額控除が可能で、「適格請求書」でない請求書による支払については、一切、仕入税額控除が適用されないということです。

では、「適格請求書」を発行できる「適格請求書発行事業者」は、どのような者がなれるのでしょうか。

「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請手続が必要で、課税事業者に限って登録することが可能です。そして、その登録を受けなければ適格請求書を交付することはできません。逆にいうと、基準期間における課税売上高(一般的に2年前の売上高)が1000万円以下の事業者については免税事業者となり、「適格請求書発行事業者」になることはできず、「適格請求書」等も発行することはできないこととなります。

たに、開設された「適格請求書発行事業者公表サイト」では、下記のような画面で「適格請求書発行事業者」であるかどうかが瞬時に分かります。

※国税庁ウェブサイト https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/index.html 参照

こちらの画面の登録番号は、法人のマイナンバー(今後、個人事業主にも13桁のマイナンバーが個人の12桁の番号とは別で交付される予定です)を入力すれば、検索できるシステムとなっています。

今後、免税事業者からの請求書の支払いに対しては、支払側では仕入税額控除が適用できないこととなるため、課税事業者への取引先変更などの打診を受ける可能性もあります。免税事業者も課税事業者選択届出書を提出して課税事業者になる手段もあるため、インボイス制度開始に向けて、入念に準備しておく必要があります。