事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

ここに文章を入力してください

ブログ 2021年12月24日

<令和2年分 相続税の申告事績の概要について>

令和3年12月16日、国税庁ウェブサイトに「令和2年分 相続税の申告事績の概要(令和3年12月)」が公表されました。

それによると、令和2年分における被相続人数(死亡者数)は1,372,755人(前年対比99.4%)でありますが、そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続人数は120,372人(同104.4%)で、その課税価格の総額は163,937億円(同103.9%)、申告税額の総額は2915億円(同105.9%)でありました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、日本においても執筆時点で18,375人の死亡が確認されていますが、感染症拡大と申告事績との因果関係はほぼないといって良いかと思われます。

昨年分との比較については、下図のとおりです。

1 令和元年分は令和2年11月2日まで、令和2年分は令和3年111日までに提出された申告書(修正申告書を除く)データに基づき作成しています。

2 「被相続人数(死亡者数)」は、厚⽣労働省政策統括官(統計・情報政策、労使関係担当)の「人⼝動態統計」のデータに基づいています。

3 「課税価格」は、相続財産価額に相続時精算課税適⽤財産価額を加え、被相続人の債務・葬式費⽤を控除し、さらに相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への⽣前贈与財産価額を加えたものです。

4 各年分とも、「本」書は相続税額のある申告書に係る計数を⽰し、「外」書は相続税額のない申告書に係る計数を⽰します。

このうち、「③課税割合」については、下図の「課税割合の推移」からも分かるとおり、平成2711日以降の相続分から基礎控除が4割り引き下げになった影響で、それまでは約4%強であったものが、一気に倍増して8%強になっています。

また、「②相続税の申告書の提出に係る被相続人数」の「本」書(令和2年分は120,372人)は、相続税額のある申告書に係る計数を示し、「外」書(令和2年分は32,651人)は相続税額のない申告書に係る計数を示しています。相続税額ない申告書というのは、相続税の課税価格の合計額は基礎控除額を超えるものの、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」を適用した結果、基礎控除を下回り、相続税額が発生していない状態を指します。これらの特例は、申告書の提出が要件となるため、相続税額のない申告書としての扱いとなっています。

ここで注目すべきは、相続税の申告書の提出人数が120,372人であるという点です。令和3年11月末日時点での税理士登録者数は79,956人です。つまり、理論上は、税理士一人当たりの相続税の申告人数は約1.5人ということになります。相続税は、土地や取引相場のない株式(自社株式)など評価が複雑なものも多く、名義財産等の確認も必要となるため、かなりの専門的な知識が求められます。

最後に令和3年度の税制改正大綱において、相続税と贈与税の一体化についての記載があり、令和4年度の税制改正大綱に具体的内容が盛り込まれるのではないかと注目されていましたが、令和3年12月10日に公表された令和4年度税制改正大綱においては、「今後本格的な検討進める」という表現に留まっており、令和5年度以降の税制改正大綱においてどのような表現で記載されていくのか、引き続き注視していく必要があります。

ブログ 2021年12月19日

<「青色申告の承認の取消し」の一部改正について>

令和3年12月2日、国税庁ウェブサイトに「『個人の青色申告の承認の取消しについて』の一部改正について(事務運営指針)」および「『法人の青色申告の承認の取消しについて』の一部改正について(事務運営指針)」が公表されました。

これは、令和3年度税制改正において、電子帳簿保存法が改正されたことに伴い、電子データについては電子保存が義務化された一方で、電子保存がされていないことによって、直ちに青色申告の承認が取り消しとはならないようにするための措置です。

具体的には、個人および法人ともに、事務運営指針として「今後の改善可能性等を総合勘案の上(下記のアンダーライン部分)」が加筆されることになりました。

実際の事務運営指針の文言は、下記のとおり改められることになりました。


<電子帳簿保存法の要件に従っていない場合における青色申告の承認の取消し>

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の要件に従っていない場合における青色申告の承認の取消しに当たっては、電磁的記録又は電子計算機出力マイクロフィルムの備付け又は保存の程度(電磁的記録に代わる書面等による備付け又は保存の有無とその程度を含む。)、今後の改善可能性等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしいと認められるかどうかを検討し、法第150条第1項の規定の適用を判断する。

この事務運営指針の変更により、改正電子帳簿保存法における電子保存要件が満たされていなかったとしても、直ちに青色申告の承認の取消しとはならないことになりました。

また、本稿執筆時の令和3年12月5日の報道機関による発表によれば、令和4年度税制改正大綱において、改正電子帳簿保存法の電子保存要件については、2年間猶予する特例を設ける予定とのことです。

これは、中小企業を中心にDX化が思うように進んでおらず、令和4年1月1日から電子保存の強制適用が間に合わないとの実務界の状況を踏まえたものと考えられます。

しかし、消費税のインボイス制度も、令和5年10月から始まる予定の中で、これらのDX化は待ったなしの状況です。令和4年度の税制改正大綱において、2年間の猶予が設けられる予定であったとしても、引き続き、電子保存を少しずつ進めることが肝要です。