事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

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ブログ 2022年4月22日

<民法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正について>

 令和4年4月15日に国税庁ウェブサイトに「民法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし」が公表されました。

民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げること等を内容とする民法の一部を改正する法律が成立したのは、今から約4年前の平成30年6月13日でした。民法の定める成年年齢の見直しは、この明治9年の太政官布告以来、約140年ぶりであり、18歳、19歳の若者が自らの判断によって人生を選択することができる環境を整備するとともに、その積極的な社会参加を促し、社会を活力あるものにする意義を有するものと考えられています。また、女性の婚姻開始年齢は16歳と定められており、18歳とされる男性の婚姻開始年齢と異なっていましたが、今回の改正では、女性の婚姻年齢を18歳に引き上げ、男女の婚姻開始年齢を統一しています。このように社会への影響が大変大きいものであったため、公布から施行までの期間に約4年という間を設けていました。

それでは、今回の成年年齢引下げによる民法の改正は、贈与税や相続税にはどのような影響があるのでしょうか。贈与税については受贈者の年齢要件、相続税については相続人の年齢要件と関連することとなりますが、その具体的な内容は下記の図の通りです。

今まで20歳とされていたものが18歳となる点は容易に判断できますが、年齢要件で大切なのは、いつの時点における年齢でみるのかという点です。例えば、「住宅取得等資金の非課税措置については、「その年1月1日において」とあります。よって、贈与時点ではない点に注意する必要があります。

他にも「あらまし」では、具体的に下記三点についてQ&A形式で紹介されています。

 いずれも、令和4年3月31日以前の贈与・相続等の場合なのか、令和4年4月1日以後の贈与・相続等の場合なのかを判断して考える必要があります。

 令和4年の贈与税の申告の際に慌てないためにも、事前に年齢要件等を丁寧に確認して、贈与の実行などを行うことが肝要です。

ブログ 2022年4月8日

<令和4年度税制改正法案の成立について>

 令和4年度の税制改正法案が3月22日に参議院本会議で可決され、国会で成立しました。

成立した税制改正法には、所得税法や法人税法、相続税法、租税特別措置法など国税の改正を一本にまとめた「所得税法等の一部を改正する法律案」、地方税の改正を一本にまとめた「地方税法等の一部を改正する法律案」があります。

国税に関する税制改正法案(所得税法等の一部を改正する法律案)は、1月25日に閣議決定後、同日国会に提出され、2月22日に衆議院を通過しました。一方、地方税に関する税制改正法案(地方税法等の一部改正する法律案)は、1月28日に閣議決定後、同日国会に提出され、国税と同じく衆議院を2月22日に通過しています。

今回は改めて、令和4年度の主な税制改正項目について、税目ごとに紹介します。

(1)所得税:住宅ローン控除制度

住宅ローン控除の適用期限を4年間延長します。

(令和7年12月31日までに入居した者が対象です。)

・2050年カーボンニュートラルの実現に向けた措置が行われます。

省エネ性能等の高い認定住宅等(※1)につき、新築住宅等・既存住宅ともに、借入限度額を上乗せし、令和6年以降に建築確認を受けた新築住宅につき、省エネ基準への適合を要件化します。

・会計検査院の指摘への対応と当面の経済状況を踏まえた措置等があります。

会計検査院の指摘への対応として控除率を0.7%(現行:1%)としつつ、新築住宅等につき控除期間を13年へと上乗せします。(※2

・その他の要件

住宅ローン控除の適用対象者の所得要件は合計所得金額2,000万円以下(現行:3,000万円以下)とし、合計所得金額1,000万円以下の者につき、令和5年以前に建築確認を受けた新築住宅の床面積要件を40㎡以上に緩和となります。

※1 「認定住宅等」は、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ宅、省エネ基準適合住宅のことを指します。

※2 控除期間につき、新築等の認定住宅等については令和4~7年入居につき13年とし、新築等のその他の住宅については令和4・5年入居は13年、令和6・7年入居は10年とし、既存住宅については令和4~7年入居につき10年とします。

※3 「買取再販住宅」は、既存住宅を宅地建物取引業者が一定のリフォームにより良質化した上で販売する住宅のことを指します。

※4 「その他の住宅」は、省エネ基準を満たさない住宅のことを指します。

※5 既存住宅における築年数要件(耐火住宅25年、非耐火住宅20年)については廃止し、代わりに昭和57年以降に建築された住宅を対象とします。

※6 所得税額から控除しきれない額については、所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)の範囲内で個人住民税から控除します。


(2)贈与税:住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置

非課税限度額を下記のとおり見直した上で、適用期限(令和3年12月31日)を令和5年12月31日まで2年延長します。

※1 上図は、耐震性能・省エネ性能・バリアフリー性能のいずれかを有する住宅向けの非課税限度額です。それ以外の住宅の非課税限度額はそれぞれ500万円減となりました。

※2 受贈者の年齢要件:20歳⇒【改正】年齢要件を18歳以上に引下げとなりました(令和4年4月以後)

※3 既存住宅は、築年数が20年(耐火建築物は25年)以内又は耐震基準に適合していることが必要です。

⇒【改正】築年数要件を撤廃し、昭和57年以降に建築された住宅又は耐震基準に適合していることが証明された住宅を対象とします。

※4 東日本大震災の被災者に係る非課税限度額は、令和3年12月末まで1,500万円(耐震・エコ・バリアフリー以外の住宅は1,000万円)で据置きです。

⇒【改正】令和5年12月末まで2年延長します。


(3)法人課税:積極的な賃上げ等を促すための措置

<大企業等>

・積極的な賃上げを促す観点から、継続雇用者の給与総額を一定割合以上増加させた企業に対して、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額の最大30%を税額控除できる制度とします(2年間の時限措置)。その際、一定規模以上の大企業に対しては、マルチステークホルダーに配慮した経営への取組みを宣言していることを要件とします。

・賃上げや人材投資(教育訓練費)に積極的な企業に対しては、税額控除率を上乗せします。

※1 資本金10億円以上、かつ、常時使用従業員数1,000人以上の大企業に対する要件とし、自社のウェブサイトに宣言内容を公表したことを経済産業大臣に届出が必要です。

※2 確定申告書に教育訓練費の明細書の添付(改正:明細書の保存)が必要です。

※3 控除率10%の上乗せ措置の適用を受けない場合は、合計20%です。


<中小企業>

・中小企業全体として雇用を守りつつ、積極的な賃上げや人材投資を促す観点から、控除率の上乗せ要件を見直すとともに、控除率を最大40%に大胆に引き上げた上で、適用期限を1年延長します(令和6年3月31日)。

1 教育訓練費増加等の要件:次のいずれかの要件があります。

①教育訓練費の対前年度増加率10%以上

  確定申告書に教育訓練費の明細書の添付(改正:明細書の保存)が必要です。

②中小企業等経営強化法の認定経営力向上計画における経営力向上の証明(改正で廃止)が必要です。

※2 控除率15%の上乗せ措置の適用を受けない場合は、合計25%です。

(4)法人課税:オープンイノベーション促進税制の拡充

ベンチャー企業と既存企業の協働によるオープンイノベーションを促進する観点から、対象となる一定のベンチャー企業の設立経過年数の要件や特別勘定の取崩しが不要となる株式保有期間等の見直しを行った上で、適用期限を2年間延長します(令和6年3月31日)。

<適用対象となる一定のベンチャー企業の株式>

オープンイノベーション性等の要件を満たすベンチャー企業に対する出資の払込みとして経済産業大臣が証明(※)したものにより取得した株式であることが適用対象です。

※出資後に企業から提出を受けた資料を、経済産業省において確認し、出資した年及び特定期間(出資後5年間【改正:3年間】)中、経済産業大臣が証明されたことが必要です。

(5)法人課税:5G導入促進税制の見直し

「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、地方でのネットワーク整備を加速する等の観点から、インセンティブ付けのため税額控除率を段階的に引き下げること等とした上で、適用期限を3年間延長します(令和7年3月31日)。

(6)消費課税:自動車重量税におけるキャッシュレス納付制度の創設

規制改革実施計画(令和3年6月18日閣議決定)を踏まえ、申請者利便の更なる向上を図るため、自動車重量税の納付方法について、クレジットカードによる納付も可能とします。(令和5年1月~導入予定)

以上は各税目についてですが、これ以外にも、「税理士制度の見直し」や「記帳義務を適正に履行しない納税者等への対応策」、「財産債務調書制度の見直し」などが掲げられています。例年の流れだと、6月ごろに通達も整備されるため、引き続き、改正の動向にご注意ください。