事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

ブログ 2024年11月22日

<令和7年度税制改正大綱策定について>

 

 令和61114日、自民、公明両党と、国民民主党の税制調査会幹部らが14日、それぞれ国会内で会談し、令和7年度税制改正の協議が本格的に始まりました。

 1027日に投開票があった衆議院総選挙において、国民民主党を中心にいわゆる「103万円の壁」が議論になりました。「103万円の壁」とは、暦年における給与収入が103万円以下であれば、本人に所得税は課されず、また、親の扶養(税務上からの扶養)からも外れません。この「103万円の壁」についての議論が注目されていますが、一方で、例年、税制調査会での検討に先立ち、財務省が各府省庁から要望を集め、その要望についても検討されます。その後、例年12月中旬に「税制改正大綱」として公表されます。830日時点の単純集計した令和7年度税制改正要望の状況は下記のとおりです。

※参照URL

https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/request/fy2025request_total.pdf

この中から、特にトピックとなる内容について詳述していきます。

1)金融庁

 ①NISAの抜本的拡充等

  令和6年(2024年)1月に開始された新しいNISA制度にともない、手続きの更なるデジタル化を推進すること等により、投資家の利便性を向上させ、NISAの更なる普及・利用促進を図ります。

投資未経験者も含めて、利用者が簡単にNISAを活用できるようにし、サービスを提供する金融機関や利用者の負担を軽減するため、制度利用者への定期的な確認手続きにマイナンバーを利用するなどデジタル技術の活用により、NISAの手続簡素化・合理化を進めるべく要望を出しています。

※「https://www.fsa.go.jp/news/r6/sonota/20240830/01.pdf」参照

 ②その他

  例年、金融庁は「生命保険料控除制度の拡充」「死亡保険金の相続税非課税限度額引上げ」「金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)」を要望として掲げていますが、いずれも実現していません。

2)経済産業省

①法人版・個人版事業承継税制の見直し及び延長

  現行の特例事業承継税制は、法人版が平成30年度税制改正で抜本拡充、個人版が平成31年度税制改正で新設されました。この中で特例承継計画の期限は令和6年度税制改正において令和8331日まで延長されたが、役員就任要件等の見直しなどを追加で要望しています。なお、本要望は厚生労働省からも共同要望されていますが、特例事業承継税制の趣旨が新たな雇用の創出や雇用の継続にある点であると考えられます。

※「https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2025/zeisei_k/202408302.pdf」参照

    その他(リース会計基準の変更に伴う所要の措置)

  企業会計基準委員会(ASBJ)から令和6913日に「リースに関する会計基準」が公表された。上場企業を中心に令和941日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用するとしている。このリース会計基準の導入により、いわゆるオペレーティングリース取引等も資産負債計上(オンバランス化)が要求され、実務への影響がかなり大きいものであると言えます。経済産業省からの税制改正要望としては、この企業の負担ができるだけ生じないようにする等の所要の措置を講ずるとコメントしています。

3)国土交通省

 ①住宅ローン減税等に係る所要の措

令和6年度税制改正大綱(令和51214日 自由民主党・公明党)において「①子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充」、「②子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充」として示された措置をさらに1年延長する方向で講じるとしています。具体的には下記図のとおりです。

※「https://www.mlit.go.jp/page/content/001760257.pdf」参照

 

    老朽化マンションの再生等の円滑化のための組合による事業施行に係る特例措置の創設

マンションの建替え等の円滑化に関する法律(以下「マンション建替円滑化法」という。)は、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)に基づく建替え決議(同法第 62 条)がなされた後の事業法と位置付けられており、マンションの建替え等を円滑化する観点から、具体的な手続や事業の施行者である組合に係る税制上の特例等が規定されています。

今後の老朽化マンション等の急増に対応するため区分所有法において、区分所有建物の再生等の円滑化を図る方策として、一棟リノベーションをはじめ、建替えによらない新たな決議の創設が検討されていることから、マンション建替円滑化法において、それらの決議に対応する事業手続(組合設立等)の創設を検討しています(区分所有法及びマンション建替円滑化法について、改正を検討中)。

老朽化マンションの再生等においては、費用負担の問題が区分所有者間の合意形成の最大の阻害要因となっており、新たな事業手続を活用した再生等を円滑に進めるためには、これらの事業実施のために設立される組合について、従来の建替組合と同様の費用負担軽減が必要であることから、下記事項を要望するとしています。

※「https://www.mlit.go.jp/page/content/001760257.pdf」参照

 以上、主な改正要望について確認をしてきたが、これから12月中旬にかけて、税制改正大綱の議論が本格化していきます。実務に直結する内容も多くふくまれることから、引き続き、報道機関の発表等を注視して下さい。