事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

ブログ 2024年12月27日

<令和7年度税制改正大綱

(物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応)について>

 令和6年12月20日、自由民主党および公明党から「令和7年度税制改正大綱」が公表されました。今回は、税制改正大綱の中から、「物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応」(いわゆる「103万円の壁」の改正)を中心に紹介していきます。

この「物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応」については、大綱の中で、以下のとおり紹介されています。

「所得税については、基礎控除の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題があります。

わが国経済は長きにわたり、デフレの状態が続いてきたため、こうした問題が顕在化されることはありませんでしたが、足元では物価が上昇傾向にあります。一般に指標とされる消費者物価指数(総合)は、最後に基礎控除の引上げが行われた平成7年から令和5年にかけて10%程度上昇し、令和6年も10月までに3%上昇しており、今後も一定の上昇が見込まれます。~以下中略~こうした物価動向を踏まえ、所得税の基礎控除の額を現行の最高48万円から最高58万円に10万円、20%程度引き上げます。

給与所得控除については、給与収入に対する割合に基づき計算される控除であり、物価の上昇とともに賃金が上昇すれば、控除額も増加します。しかしながら、最低保障額が適用される収入である場合、収入が増えても控除額は増加しない構造であるため、物価上昇への対応とともに、就業調整にも対応するとの観点から、最低保障額を現行の55万円から65万円に10万円引き上げます。」 

いわゆる「103万円の壁」については、123万円まで引き上げられることになりましたが、実際には基礎控除と給与所得控除、それぞれが10万円ずつ引き上げとなる予定です。

まず、基礎控除についてであるが、現状下記表のとおりの取扱いとなっています。

※「国税庁ウェブサイト」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm 参照

この基礎控除について、合計所得金額が2,350万円以下の個人について58万円へ引き上げ予定です。

※「令和7年度税制改正大綱」参照

 次に、給与所得控除であるが、こちらも現状は下記表のとおりの取扱いとなっています。

※「国税庁ウェブサイト」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm 参照

この給与所得控除額についても55万円から65万円へ引き上げ予定ですが、税制改正大綱においては、給与所得控除額の表までは明記されていません。

 また、これらの「103万円の壁」の話の中で議論になったのが、いわゆる学生の扶養控除についてです。現状においては、年齢19歳以上23歳未満の生計一親族については、特定扶養控除として63万円が控除されます。

この特定扶養控除についても、給与収入123万円までであれば63万円全額の控除が認められることとなる予定ですが、今回の税制改正大綱において、新たに特定親族特別控除(仮称)が創設される予定と明記されました。特定親族特別控除(仮称)は、いわゆる配偶者特別控除と同じような内容であり、親族等の合計所得金額に応じて、控除額を段階的に下げていくようなものとなっています。具体的に税制改正大綱において明記されたのは、下記図のとおりです。

※「令和7年度税制改正大綱」参照

 この特別控除の創設により、学生のバイト収入が年間123万円を超えても直ちに特定扶養控除がなくならずに新たにこの特別控除が適用されることとなります。配偶者控除や配偶者特別控除は、控除を受ける納税者本人(親)の合計所得金額も一定金額以下である必要があることから、特定扶養控除は配偶者控除や配偶者特別控除と比較すると一定数の納税者が適用を受けられる可能性が高いといえます。

 以上、確認してきたように、「物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応」の目玉として基礎控除および給与所得控除の引き上げが挙げられますが、これらの内容は今後も国民民主党を含めた3党協議を継続していくとのことです。

例年であれば、こちらの税制改正大綱をもとに税制改正法案が作成され国会で承認された後、3月下旬ごろに法案が成立する流れとなりますが、令和7年度税制改正大綱においては、まだまだ予断を許さず、今後金額なども含め、抜本的に変わる可能性もあります。

今後も報道発表などを注視していくことが肝要です。