事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

ブログ 2023年2月24日

<マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について>

 令和5年1月30日に、マンションに係る財産評価基本通達に関する第1回有識者会議が開催されました。

 これは、令和4年4月19日の最高裁判決(国側勝訴)の判決を受けて、令和5年度税制改正大綱において、「円滑・適正な納税のための環境整備」として、下記のとおり検討事項とされたことが起因しています。

第1回の有識者会議においては、本検討事項の冒頭に記載の「市場での売買価額と通達に基づく相続税評価額とが大きく乖離しているケース」について幾つかの事例が紹介されました。

※国税庁報道発表資料「https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023001-051.pdf」参照。

 乖離率については、市場価格に対してどのくらいの相続税評価額の圧縮があるかという点でみられるケースもあり、それぞれ①については31.26%、②については42.37%、③については、42.59%となります。

 ①については、いわゆるタワーマンションに該当し、圧縮率(乖離率)がとりわけ大きいことが読み取れます。

 そもそもマンションの相続税評価の考え方については、家屋については固定資産税評価額で評価する点は他の家屋と共通しているものの土地の評価におい敷地権の考え方を反映するため、とりわけ圧縮率(乖離率)が大きくなる結果となります。特にタワーマンションについては、狭い敷地に高い家屋を建築するため、一部屋あたりの敷地権割合は極めて小さくなります。これを図示したものが下記のとおりです。

※国税庁報道発表資料「https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023001-051.pdf」参照。

 一方、有識者会議においては「価格乖離の問題は、タワーマンションだけではなくマンション全体にいえるのではないか。そうすると、時価主義の観点からは、見直しの範囲を一部のタワーマンションに限定すべきではない。」と紹介されていて、マンション全体について検討していく旨が触れられています。

 そして、税制改正大綱の検討事項として掲げられている「現状を放置すれば、マンションの相続税評価額が個別に判断されることもあり、納税者の予見可能性を確保する必要もあります。」については、いわゆる財産評価基本通達6項(総則6項)との関係が極めて重要です。すなわち、マンションの相続税評価額が個別に判断されてしまうと、総則6項がいつ発動されるか分からないという点で納税者の予見可能性が著しく害されることとなります。実際に近年の総則6項の適用件数は下記図のとおりかなり限定的な運用となってます。

※国税庁報道発表資料「https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023001-051.pdf」参照。

 以上のように、今後も定期的に有識者会議は開かれ、マンションの相続税評価額について、今後、何かしらの通達改正が行われる可能性が高いです。

 例年、その年度の税制改正大綱は、通常国会を経て3月末ごろに法案として成立します。また、税務署の定期異動日が毎年7月10日のため、それに先立って、通達改正などが6月から7月にかけて行われます。

 本年の6月から7月ごろまでにまとまる可能性は私見では薄いと考えていますが、有識者会議の動きについては、引き続き注視してください。