事務所名 | 分銅会計事務所 |
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所長名 | 代表税理士 分銅雅一 (登録番号第123843号) |
所在地 | 〒160-0022 |
電話番号 | 03-6380-1093 |
FAX番号 | 03-6380-1094 |
業務内容 | 自社株式と不動産の承継に関連する 1.相続税・譲渡所得税の税務申告 2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援 3.個人及び法人の税務顧問 4.セミナー及び研修の講師 |
適格請求書発行事業者登録番号 |
<電子帳簿保存法の改正について>
令和5年4月14日、国税庁ウェブサイトに「電子帳簿保存法の内容が改正されました~令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要~」が掲載されました。
電子帳簿保存法は、経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、記帳水準の向上等に資するため、令和3年度の税制改正において、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」の改正等が行われ、帳簿書類を電子的に保存する際の手続等について、抜本的な見直しがなされました。
その抜本的な見直しの一つが、電子取引における電子保存の義務化についてでした。下記図にあるとおりですが、①電子帳簿等保存と②スキャナ保存については任意であり、引き続き、紙媒体による保存が許容されますが、③電子取引については電子保存を義務化するというものです。
※国税庁ウェブサイト https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021012-095_03.pdf 参照
一方で、その適用開始が当初は令和4年1月1日以後行う電子取引からの予定でしたが、中小零細企業を中心とした実務への影響が甚大であることから、令和4年度の税制改正において、電子取引における電子保存の義務化については、2年間の猶予が認められることとなりました。令和5年度の税制改正については、さらに以下の見直しが図られることとなりました。
(1)検索機能の全てを不要とする措置の対象者の見直し
税務調査等の際に電子取引データの「ダウンロードの求め(調査担当者にデータのコピーを提供すること)」に応じることができるようにしている場合に検索機能の全てを不要とする措置について、以下のとおり対象者が見直されました。
・検索機能が不要とされる対象者の範囲が、基準期間(2課税年度前)の売上高が「1,000万円以下」の保存義務者から「5,000万円以下」の保存義務者に拡大
・対象者に「電子取引データをプリントアウトした書面を、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしている保存義務者」を追加
(2)令和4年度税制改正で措置された「宥恕措置」は、適用期限(R5.12.31)で廃止
当初の予定どおり、令和4年度税制改正で措置された「宥恕措置」は、適用期限である令和5年12月31日で廃止される予定です。ただし、令和5年12月31日までにやり取りした電子取引データを「宥恕措置」を適用して保存している方は、令和6年1月1日以後も保存期間が満了するまで、そのプリントアウトした書面を保存し続け、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば問題ないとされました。
(3)新たな猶予措置として下記内容が整備
次のいずれの要件も満たしている場合には、改ざん防止や検索機能などの保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことができることとされました。
・保存時に満たすべき要件に従って電子取引データを保存することができなかったことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認められる場合(事前申請等は不要)
・税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合
今回の電子帳簿保存法の見直しにより、電子取引における電子保存の義務化については、以前よりも緩和措置が図られたものの、適用開始が令和6年1月1日以降であることに変わりはありません。令和5年10月1日からはインボイス制度も開始される予定であるため、自社発行の請求書等や他社発行の請求書等の保存については、その整備が急務となっています。