事務所名 | 分銅会計事務所 |
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所長名 | 代表税理士 分銅雅一 (登録番号第123843号) |
所在地 | 〒160-0022 |
電話番号 | 03-6380-1093 |
FAX番号 | 03-6380-1094 |
業務内容 | 自社株式と不動産の承継に関連する 1.相続税・譲渡所得税の税務申告 2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援 3.個人及び法人の税務顧問 4.セミナー及び研修の講師 |
適格請求書発行事業者登録番号 |
<令和6年度税制改正大綱策定について>
令和6年11月17日、自民党税制調査会は総会を開き、令和6年度税制改正大綱策定に向けた検討を開始しました。
例年、税制改正大綱は12月の第2週あたりに発表されるため、約20日間にわたり議論されます。税制調査会での検討に先立ち、財務省が各府省庁から要望を集め、その要望についても検討されます。8月31日時点の単純集計した令和6年度税制改正要望の状況は下記のとおりです。
各府省庁から具体的な要望事項の概要については、下記ウェブサイトのリンク先をご参照ください。
※https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2024/request/06y_all.pdf
この中から、特にトピックとなる内容について詳述していきます。
(1)金融庁
①NISAの抜本的拡充等
令和6年(2024年)1月からの新しいNISA制度の開始にともない、手続きの更なるデジタル化を推進すること等により、投資家の利便性を向上させ、NISAの更なる普及・利用促進を図ります。
投資未経験者も含めて、利用者が簡単にNISAを活用できるようにし、サービスを提供する金融機関や利用者の負担を軽減するため、制度利用者への定期的な確認手続きにマイナンバーを利用するなどデジタル技術の活用により、NISAの手続簡素化・合理化を進めるべく要望を出しています。
※「https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/01.pdf」参照
②その他
例年、金融庁は「生命保険料控除制度の拡充」「死亡保険金の相続税非課税限度額引上げ」「金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)」を要望として掲げているが、いずれも実現していません。
(2)経済産業省
①大企業向け・中小企業向け賃上げ促進税制の拡充及び延長
現行の賃上げ促進税制については、令和4年度改正で、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始される各事業年度が対象となっています。来年3月に期限切れとなるのを前に、賃上げ促進税制の拡充及び延長の要望を出しています。
※「https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2024/zeisei_r/pdf/1_02.pdf」参照
②
法人版・個人版事業承継税制の見直し及び延長
現行の特例事業承継税制は、法人版が平成30年度税制改正で抜本拡充、個人版が平成31年度税制改正で新設されました。この中で特例承継計画の期限が来年3月31日に迫っているため、承継計画の確認申請(提出)の期限を一定期間延長する要望を出しています。なお、本要望は厚生労働省からも共同要望されているが、特例事業承継税制の趣旨が新たな雇用の創出や雇用の継続にある点であると考えられます。
※「https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2024/zeisei_r/pdf/1_02.pdf」参照
(3)国土交通省
①各種措置の延長
不動産に関係する以下の項目は、一般的に2年間の措置を継続して延長しているものであり、今回も同様に延長を要望しています。
・工事請負契約書及び不動産譲渡契約書に係る印紙税の特例措置の延長(印紙税)
・特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の延長(所得税)
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の延長(所得税)
・特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の延長(所得税)
・住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置の延長(登録免許税)
・買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置の延長 (登録免許税)
・既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化リフォームに係る特例措置の拡充及び延長(所得税)
・認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に係る軽減措置の延長(登録免許税)
・認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に係る軽減措置の延長(経済産業省・環境省)(登録免許税)
個人的に気になる点が、国土交通省からの要望に、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(住宅取得等資金非課税制度)」が入っていない点です。令和5年度の税制改正において、令和6年1月から贈与税や相続税については、相続時精算課税制度や暦年贈与をしていた場合の贈与財産の加算(いわゆる生前贈与加算)制度が大幅に改正される予定です。一方で、令和5年度の税制改正においては、贈与税の非課税措置として、いわゆる「教育資金非課税制度」や「結婚・子育て資金非課税制度」において見直しが図られているものの延長措置が講じられています。もしかすると、相続時精算課税制度の利用を促進させるため、「住宅取得等資金非課税制度」は廃止される可能性があります。
引き続き、令和6年度税制改正大綱の正式発表まで、贈与税の「住宅取得等資金非課税制度」の措置を中心に、報道機関の発表等をご留意ください。