事務所名 | 分銅会計事務所 |
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所長名 | 代表税理士 分銅雅一 (登録番号第123843号) |
所在地 | 〒160-0022 |
電話番号 | 03-6380-1093 |
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業務内容 | 自社株式と不動産の承継に関連する 1.相続税・譲渡所得税の税務申告 2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援 3.個人及び法人の税務顧問 4.セミナー及び研修の講師 |
適格請求書発行事業者登録番号 |
〈令和6年度税制改正大綱(子育て支援関係)について〉
令和5年12月14日、自由民主党および公明党から「令和6年度税制改正大綱」が公表されました。今回は、税制改正大綱の中から、「子育て支援に関する政策税制」を中心に紹介していきます。
この「子育て支援に関する政策税制」については、大綱の中で、「子育て世帯は、安全・快適な住宅の確保や、こどもを扶養する者に万が一のことがあった際のリスクへの備えなど、様々なニーズを抱えており、子育て支援を進めるためには、税制においてこうしたニーズを踏まえた措置を講じていく必要がある。」としています。そして、以下の①から③について、「6.扶養控除等の見直し」と併せて行う子育て支援税制として、令和7年度税制改正において以下の方向性で検討し、結論を得るとしています。
①
子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
②
子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充
③
子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充
このうち、「①及び②については、現下の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ、令和6年限りの措置として先行的に対応する。」としています。
今回は、この①から③について紹介していきます。
(1)子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
住宅ローン控除については、令和5年度税制改正においても改正がされていますが、以下の図の赤字部分について、新たな措置が設けられる予定です。
※国土交通省ウェブサイト「https://www.mlit.go.jp/page/content/001712685.pdf」参照
大綱によると、子育て世帯及び若者夫婦世帯における借入限度額について、子育て支援の観点からの上乗せを行うとしています。具体的には、新築等の認定住宅については500万円、新築等のZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅については1,000万円の借入限度額の上乗せ措置を講ずるとしています。
また、子育て世帯においては、住宅取得において駅近等の利便性がより重視されること等を踏まえ、新築住宅の床面積要件について合計所得金額1,000万円以下の者に限り40㎡に緩和するとしています。
なお、所得税額から控除しきれない額については、現行制度と同じ控除限度額の範囲内で個人住民税額から控除するとしています。
(2)子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充
既存住宅のリフォームに係る特例措置について、子育て世代の居住環境の改善の観点から、子育て世帯及び若者夫婦世帯が行う一定の子育て対応改修工事を対象に加えるとしています。
(3)子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充
所得税において、生命保険料控除における新生命保険料に係る一般枠(遺族保証)について、23歳未満の扶養親族を有する場合には、現行の4万円の適用限度額に対して2万円の上乗せ措置を講ずることとするとしています。
なお、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額については、実際の適用控除額の平均が限度額を大きく下回っている実態を踏まえ、現行の12万円から変更しないとしています。
また、一時払生命保険については、既に資産を一定程度保有している者が利用していると考えられ、万が一のリスクへの備えに対する自助努力への支援という本制度の趣旨と合致しないことから、これを控除の適用対象から除外するとしています。
以上を図示したものが、金融庁の税制改正要望において下記のとおり紹介されています。
※金融庁ウェブサイト「https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/01.pdf」参照
この(3)の措置は、上記(1)および(2)の措置と異なり、令和6年度税制改正大綱の「6.扶養控除等の見直し」と併せて行う子育て支援税制として、令和7年度税制改正においてさらに検討を加え、結論を得るとしています。
以上、確認してきたように、住宅税制としての(1)および(2)の措置は先行的に対応するとされていることから、来年の税制改正法案として成立する可能性が高いです。既存の住宅ローン控除制度と併せて確認してください。