事務所名 | 分銅会計事務所 |
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所長名 | 代表税理士 分銅雅一 (登録番号第123843号) |
所在地 | 〒160-0022 |
電話番号 | 03-6380-1093 |
FAX番号 | 03-6380-1094 |
業務内容 | 自社株式と不動産の承継に関連する 1.相続税・譲渡所得税の税務申告 2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援 3.個人及び法人の税務顧問 4.セミナー及び研修の講師 |
適格請求書発行事業者登録番号 |
<財産債務調書制度の見直しについて>
令和5年分の所得税の確定申告期間は、令和6年2月16日から3月15日までとなっていますが、一定の所得や有価証券を所有していると、財産債務調書も同時に提出することが義務付けられていました。これが令和4年度税制改正において、提出義務者や提出期限の見直しが図られ、令和5年分以後の財産債務調書について適用となります。
具体的な見直しの内容は下記の項目についてです。
①
財産債務調書の提出義務者の拡大
②
提出期限の後倒し
③
記載簡略化の範囲の拡充
まず、①についてですが、従来の提出義務者の範囲は下記のいずれも満たす方でした。
・その年分の退職所得を除く各種所得の金額の合計額が 2,000万円を超える場合
・その年の12月31日において、その合計額が3億円以上の財産又は1億円以上の国外転出特例対象財産(例:有価証券、未決済信用取引)を有する場合
一つ目の所得基準を満たしていても、二つ目の財産基準を満たしていなければ、財産債務調書を提出する必要はありませんでした。
ところが、令和4年度税制改正において、所得基準が該当していなくても、その年の12月31日において、その合計額が10億円以上の財産を有する方は財産債務調書の提出義務者として追加されました。この改正により、仮に所得税の申告義務がない方であっても、年末時点の財産が10億円以上ある場合は、財産債務調書を提出する必要が生ずることとなります。
次に②についてですが、従来、財産債務調書の提出期限はその年の翌年3月15日でしたが、令和5年分以後からは、その年の翌年6月30日に後ろ倒しとなりました。例年、確定申告の期間中に財産債務調書に記載する財産の内容の詳細も同時に確認する必要がありましたが、今後は、確定申告期限後に作成していけば問題ありません。
最後に③についてですが、従来は、記載が簡略できる金額基準が100万円未満でしたが、300万円に範囲が拡充されました。また、減価償却資産については、青色申告決算書又は収支内訳書の「減価償却費の計算」欄に記載された減価償却資産を個別に記載する必要がありましたが、令和5年分以後の財産債務調書から総額の記載で足りることとなりました。
これを具体的に図示したものが下記のとおりです。
※国税庁ウェブサイト https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/zaisan_saimu/pdf/zaisan_leaflet.pdf 参照
ここまで確認してきた財産債務調書と類似するものとして、国外財産調書があります。この国外財産調書の提出期限も令和5年分以後の分から、翌年6月30日と後ろ倒しされています。財産債務調書についての罰則規定は特にありませんが、国外財産調書については提出がない場合に罰則規定があります。令和5年分のものから、所得税の確定申告期限とは異なる期限が設けられているため、逆に注意しておく必要があります。