事務所名 | 分銅会計事務所 |
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所長名 | 代表税理士 分銅雅一 (登録番号第123843号) |
所在地 | 〒160-0022 |
電話番号 | 03-6380-1093 |
FAX番号 | 03-6380-1094 |
業務内容 | 自社株式と不動産の承継に関連する 1.相続税・譲渡所得税の税務申告 2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援 3.個人及び法人の税務顧問 4.セミナー及び研修の講師 |
適格請求書発行事業者登録番号 |
<定額減税(予定納税・確定申告関係)について>
令和6年4月30日に国税庁ウェブサイトにおいて、令和6年分所得税の定額減税Q&A(予定納税・確定申告関係)が掲載されました。
定額減税制度は、令和6年分所得税について、以前導入されていた定率減税と異なり、給与所得者であれば源泉徴収義務者である事業者が源泉所得税から控除する形式で行われる予定で、その源泉徴収も6月分のものから行うとされています。一方で、自営業者等の確定申告対象者は、給与所得者と異なり、毎月の源泉徴収税額から控除することはできないため、別の措置が執られることとなります。
この自営業者等を中心とした定額減税Q&Aが、国税庁ウェブサイトの「定額減税特設サイト」に掲載された。今回は、これらの中から特に中心的な内容を紹介していきます。
今回のQ&Aは、予定納税に関する内容が7項目、確定申告等に関する項目が6項目紹介されていて、具体的な内容としては下記のとおりです。
<令和6年分の所得税に係る予定納税>
1-1 令和6年分の所得税に係る納期等の特例
1-2 令和6年分の予定納税額
1-3 令和6年分の申告納税見積額
1-4 予定納税額の減額申請をすることができる場合
1-5 予定納税特別控除額
1-6 7月の予定納税額の減額申請をする場合の予定納税特別控除額の控除
1-7 11 月の予定納税額の減額申請をする場合の予定納税特別控除額の控除
<令和6年分の所得税に係る確定申告等>
2-1 確定申告において定額減税の対象となる同一生計配偶者等
2-2 確定申告において定額減税の適用を受ける場合の申告書の記載事項
2-3 給与等と公的年金等の源泉徴収税額から定額減税の適用を受けた者
2-4 令和6年6月1日以後に準確定申告書を提出する場合の定額減税
2-5 令和6年5月
31 日以前に準確定申告書を提出している場合の定額減税
2-6 純損失の繰戻しがある場合
まず、予定納税についてですが、今回の定額減税の措置として、第1期分の予定納税額は、Q&Aの1-2に記載のとおり、予定納税基準額の3分の1に相当する金額(100 円未満の端数がある場合には、その端数を切り捨てた金額)から、本人分に係る定額減税額に相当する金額(30,000 円)を控除した残額となるとしています。一方で、同一生計配偶者や扶養親族の分も併せて控除したい場合には、まずQ&A1-5に記載の「予定納税特別控除額」を算出し、その上で、Q&A1-6および1-7における「予定納税特別控除額の控除」に従い、それぞれ順次控除され
ることとなります。この予定納税特別控除額の控除については減額申請を行う必要があるため、Q&A1-1において、下記のとおり減額申請の期限を令和6年分に限り延長される予定です。
※国税庁ウェブサイト https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/0024004-072_01.pdf 参照
次に、確定申告等についてですが、確定申告等で定額減税を受ける場合においても当然に同一生計配偶者や扶養親族についての控除も認められることとなります。ただ、Q&Aの2-2に記載のとおり、確定申告書において、「氏名」、「生年月日」、「マイナンバー」等を記載する必要があります。
また、注目すべき内容としてQ&Aの2-3が挙げられます。それは、「給与等と公的年金等の源泉徴収税額から定額減税の適用を受けた者」、つまり重複して定額減税を受けた者の取扱いである。本Q&Aによれば、重複して定額減税を受けただけをもって確定申告義務は発生せず、あくまで従来どおり、下記記載の方については確定申告が不要となるため、結果的に二重で定額減税が受けられることとなります。
・ 給与の収入金額が 2,000 万円以下で、かつ、給与所得及び退職所得以外の所得金額が 20万円以下であるなどの一定の要件を満たすことにより確定申告が不要とされている方
・ その年中の公的年金等の収入金額が 400 万円以下であって、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が 20
万円以下であることにより、確定申告が不要とされている方(その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となっている方に限ります。)
さらに、Q&Aの2-4と2-5については、準確定申告を提出している(する)場合の取扱いについて定められていますが、注目すべきはあくまで定額減の対象は令和6年6月1日以後に提出する令和6年分の確定申告書について適用するとしていることから、5月31日以前に提出する場合は適用されないとしています。一方で、5月31日以前に準確定申告書を提出した者は、更正の請求を行うことにより、定額減税の適用を受けることができるとされています。
今回は自営業者等を中心として予定納税や確定申告等について確認をしてきましたが、やはり給与所得者の定額減税制度のうち「月次減税事務」が実務への影響が大きいと判断されます。6月からの開始される「月次減税事務」の準備を早めに行っておくことが肝要です。