事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

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ブログ 2024年1月26日

〈令和6年度税制改正大綱(事業承継税制)について〉

 

 令和5年12月14日に令和6年度の税制改正大綱が公表され、12月22日に閣議決定されました。

この中で、法人版事業承継税制について、特例承継計画の提出期限を令和6年3月末から2年延長し、令和8年3月末までとするとしている。法人版事業承継税制は、取引相場のない株式(非上場株式等)を次世代に承継する際に後継者が負担する贈与税や相続税を一定期間猶予する制度であり、納税猶予制度とも呼ばれています。元々、納税猶予制度自体は平成21年度税制改正において創設されましたが、要件が厳しく使い勝手が悪かったため、平成30年度税制改正において特例措置が設けられました。

この特例措置は一般措置と比較すると、対象となる株式数が全部(一般措置は総株式数の最大3分の2まで)であり、雇用確保要件の弾力化なども図られています。この特例措置は、平成30年1月1日から令和9年12月31日までの期間の贈与や相続等が対象であるため、現行制度上は、一般措置が1階に相当し、特例措置が2階に相当する2階建ての状態となっています。

両制度の概要を示すと下記のとおりです。

<贈与税の納税猶予及び免除>

<相続税の納税猶予及び免除>

国税庁ウェブサイトhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-133_01.pdf」参照。 

 今回、税制改正の対象となるのは、あくまで赤枠内の「特例承継計画」の提出・確認についてです。元々、特例承継計画の提出期限は、下記のとおり変遷してきています。

平成30年度税制改正・・・・令和5年3月31日まで

令和4年度税制改正・・・・・令和6年3月31日まで(1年延長)

令和6年度税制改正案・・・令和8年3月31日まで(2年延長)

 実際、経済産業省からの税制改正要望事項の中で示された申請件数はコロナ禍の影響等で微減していますが、平成30年度税制改正後、劇的に申請件数が増えていることが読み取れます。

※経済産業省ウェブサイトhttps://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2024/zeisei_k/pdf/zeiseikaisei.pdf参照

 しかし、この図において留意すべき事項として、2017年以前は実際の認定件数です。特例承継計画は特例措置を受けるための入口段階に過ぎず、実際に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)における認定の申請自体は2017年以前と大きくは変わらないと言われています。

 また、特例承継計画については、記載のとおり延長を繰り返していますが、贈与や相続等の対象期間は令和9年12月31日までと、平成30年度税制改正大綱の発表時から変わっていません。

 2023年の中小企業白書において、「近年事業承継した経営者の就任経緯」という図が下記のとおり紹介されています。

これによると「親族内承継」と「従業員承継」がいずれも3分の1程度あることが読み取れます。特に「親族内承継」は、昔に比べると就任経緯としては減少しているもののそれでもまだ一番多い割合となっています。

 非上場株式という自社株式をどのように承継していくか、特例措置の適用期限が迫ってきている中で、先代経営者と後継候補者との話し合いは急務になっています。