事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

ブログ 2024年4月26日 

〈令和6年度税制改正について〉

 

 令和5年12月14日に令和6年度の税制改正大綱が公表され、12月22日に閣議決定されました。その後、令和6年度税制改正法が3月28日、参議院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立しました。

その後、財務省のウェブサイトにおいて、「令和6年度の税制改正」のパンフレットが掲載されました。今回は改めて税制改正の骨子と主要な改正内容を紹介していきます。

まず、冒頭において、「令和6年度税制改正では、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価上昇を上回る持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から、所得税・個人住民税の定額減税の実施や、賃上げ促進税制の強化等を行う」としています。また、「資本蓄積の推進や生産性の向上により、供給力を強化するため、戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックス税制を創設し、スタートアップ・エコシステムの抜本的強化のための措置を講じ、加えて、グローバル化を踏まえてプラットフォーム課税の導入等を行うとともに、地域経済や中堅・中小企業の活性化等の観点から、事業承継税制の特例措置に係る計画提出期限の延長等を行う」としています。

そして、具体的な税制改正の内容として下記のものが紹介されています。

<個人所得課税>

・所得税・個人住民税の定額減税

・ストックオプション税制の利便性向上

・住宅ローン控除の拡充

<資産課税>

・法人版事業承継税制の特例措置に係る特例承継計画の提出期限の延長

<法人課税>

・賃上げ促進税制の強化

・戦略分野国内生産促進税制の創設

・イノベーションボックス税制の創設

・中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充

・第三者保有の暗号資産の期末時価評価課税の見直し

・交際費から除外される飲食費に係る見直し

<消費課税>

・プラットフォーム課税の導入

<国際課税>

・非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度の整備等

<納税環境整備>

・GビズIDとの連携によるe-Taxの利便性の向上

・更正の請求に係る隠蔽・仮装行為に対する重加算税制度の整備

このうち、まず、個人所得課税の「所得税・個人住民税の定額減税」については、デフレ完全脱却のための一時的な措置として、納税者及びその配偶者を含めた扶養親族1人(いずれも居住者)につき、令和6年分の所得税3万円、令和6年度分の個人住民税1万円の減税を実施するとしています。これを図示したものが下記のとおりです。

※財務省ウェブサイhttps://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei2024_pdf/zeisei24_all.pdf」参照

 

同じく個人所得課税の「住宅ローン控除の拡充」については、現下の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ、子育て世帯及び若者夫婦世帯における借入限度額について、子育て支援の観点からの上乗せを行い、さらに、新築住宅の床面積要件について、合計所得金額1,000万円以下の者に限り40㎡に緩和するとしている。この子育て世帯等における借入限度額の拡充を図示すると下記のとおりとなります。

※財務省ウェブサイトhttps://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei2024_pdf/zeisei24_all.pdf」参照

 

次に資産課税における「法人版事業承継税制の特例措置に係る特例承継計画の提出期限の延長」については、特例承継計画の提出期限がそれまでの令和6年3月末から令和8年3月末まで2年間延長されました。

最後に法人課税における「交際費から除外される飲食費に係る見直し」について紹介しておく。交際費等は損金不算入とされているが、平成18年度税制改正により、会議費相当とされる1人5,000円以下の飲食費は交際費等の範囲から除外され、全額損金算入されています。この5,000円以下とされている飲食費の金額基準について、会議費の実態等を踏まえ、10,000円以下まで引き上げるとしている。また、接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を3年延長されました。これを図示したものが下記のとおりです。

※財務省ウェブサイトhttps://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei2024_pdf/zeisei24_all.pdf」参照

 

以上、主だった項目を紹介してきたが、令和6年単年におけるもっとも大きい改正項目は、やはり所得課税の定額減税制度であるといえる。6月から定額減税の月次減税事務が開始される予定であるので、早めに準備しておくことが肝要です。