事務所名 | 分銅会計事務所 |
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所長名 | 代表税理士 分銅雅一 (登録番号第123843号) |
所在地 | 〒160-0022 |
電話番号 | 03-6380-1093 |
FAX番号 | 03-6380-1094 |
業務内容 | 自社株式と不動産の承継に関連する 1.相続税・譲渡所得税の税務申告 2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援 3.個人及び法人の税務顧問 4.セミナー及び研修の講師 |
適格請求書発行事業者登録番号 |
<基礎控除の特例の創設について
令和6年12月20日、自由民主党および公明党から「令和7年度税制改正大綱」が公表されました。税制改正大綱においては、「物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応」(いわゆる「103万円の壁」の改正)として、以下のとおり紹介されています。
「所得税については、基礎控除の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題があります。
わが国経済は長きにわたり、デフレの状態が続いてきたため、こうした問題が顕在化されることはありませんでしたが、足元では物価が上昇傾向にあります。一般に指標とされる消費者物価指数(総合)は、最後に基礎控除の引上げが行われた平成7年から令和5年にかけて10%程度上昇し、令和6年も10月までに3%上昇しており、今後も一定の上昇が見込まれます。~以下中略~こうした物価動向を踏まえ、所得税の基礎控除の額を現行の最高48万円から最高58万円に10万円、20%程度引き上げます。
給与所得控除については、給与収入に対する割合に基づき計算される控除であり、物価の上昇とともに賃金が上昇すれば、控除額も増加します。しかしながら、最低保障額が適用される収入である場合、収入が増えても控除額は増加しない構造であるため、物価上昇への対応とともに、就業調整にも対応するとの観点から、最低保障額を現行の55万円から65万円に10万円引き上げます。」
以上により、いわゆる「103万円の壁」については、123万円まで引き上げられることになりましたが、実際には基礎控除と給与所得控除、それぞれが10万円ずつ引き上げとなる予定でした。
一方、税制改正大綱においては、下記の記載があり、引き続きの協議事項となっていました。
「一、いわゆる「103万円の壁」は、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる。~以下省略~」
令和6年12月のいわゆる三党幹事長合意を受けて、自民党・公明党・国民民主党は令和7年に入ってから協議を重ね、自民党及び公明党の両党は所得税の基礎控除について、当初の案よりも上乗せする修正案を衆院に提出し、3月4日の衆議院本会議で可決し、参議院に送付しました。与党と国民民主党との協議で焦点の一つとなった「103万円の壁」引き上げについて、自民党のウェブサイトにおいて、令和7年2月28日付で「基礎控除の特例の創設」と題した内容のものが公表されています。
その内容は下記のとおりです。
「低所得者層の税負担に対して配慮する観点や、物価上昇に賃金上昇が追いついていない状況を踏まえ、中所得者層を含めて税負担を軽減する観点から、所得税の基礎控除の特例を創設し、政府案と合わせて控除の金額を以下のとおり引き上げます。」
①
給与収入200万円相当以下 : +47万円
(政府案に37万円上乗せ)
②
給与収入200万円相当~475万円相当以下 : +40万円
(同30万円上乗せ)
③
給与収入475万円相当~665万円相当以下: +20万円
(同10万円上乗せ)
④
給与収入665万円相当~850万円相当以下: +15万円
(同5万円上乗せ)
※自民党ウェブサイト「基礎控除の特例の創設について」参照
以上を図示したものが下記のとおりです。
※自民党ウェブサイト「https://www.jimin.jp/news/information/210090.html」参照
ここで紹介されている「政府案による基礎控除引き上げ10万円」は、上記記載のとおり、税制改正大綱の内容を指しています。
なお、本特例であるが、「基礎控除の特例の創設について」の中で、下記のとおり紹介されています。
まず、①の上乗せは恒久的な措置ですが、②~④の上乗せは令和7年分及び令和8年分の措置です。
そして、給与所得者については、年末調整において適用するとしているため、昨年の定額減税制度の月次減税事務などは求められていません。
本特例の創設により、いわゆる103万円の壁は160万円の壁(課税最低限が160万円)ということになります。これは、既存の給与所得控除55万円に所得控除48万円を加算、当初の税制改正大綱案によりそれぞれ10万円ずつ加算されて123万円、そして今回の基礎控除の特例の創設によりさらに37万円が加算され、160万円が課税最低限ということです。
ところが、本特例はあくまで所得税のみの特例であり、個人住民税には及びません。したがって、個人住民税は現行制度どおりの基礎控除額となります。
また、社会保険の加入の有無についても触れておく必要があります。現状、社会保険の加入については、130万円の壁あるいは106万円の壁があると言われています。このまま、所得税についてのみ改正がされても、社会保険の加入についても議論がされていかなければ、結局、パートやアルバイトなどの働き控えは解消されません。
上記を含めた税制改正法案は、3月末に国会で賛成される予定ですが、実務面においては、特に社会保険制度改革について、報道発表などを引き続き注視していくことが肝要です。