事務所概要

事務所名分銅会計事務所
所長名
代表税理士 分銅雅一
(登録番号第123843号)
所在地

〒160-0022
東京都新宿区新宿二丁目3番12号 グレイスビル7F

電話番号03-6380-1093
FAX番号03-6380-1094
業務内容

自社株式と不動産の承継に関連する

1.相続税・譲渡所得税の税務申告

2.相続・事業承継対策の立案及び実行支援

3.個人及び法人の税務顧問

4.セミナー及び研修の講師

適格請求書発行事業者登録番号

T2810600793215

ブログ 2024年4月12日

<6月から始まる定額減税(月次減税事務)について>

 

 令和5年12月14日に令和6年度の税制改正大綱が公表され、12月22日に閣議決定されました。この中で、令和6年分所得税について、定額減税制度が示されました。定額減税は、以前導入されていた定率減税と異なり、給与所得者であれば源泉徴収義務者である事業者が源泉所得税から控除する形式で行われる予定で、その源泉徴収も6月分のものから行うとされています。

国税庁では、このような状況から、令和6年1月30日に「定額減税特設サイト」を設け、源泉徴収義務者が早期に準備に着手できるよう、法案の国会提出前であっても、制度の詳細についてできる限り早急に公表するとともに、源泉徴収義務者向けのパンフレットの作成等広報活動を開始し、給付金担当を含む関係省庁や地方公共団体ともよく連携しながら、制度の趣旨・内容等について、丁寧な周知広報を行うこととされました。

また、令和6年2月5日には、国税庁ウェブサイトに「令和6年分所得税の定額減税Q&A」が公表されました。今回は、これらの中から特に6月から対応が必要な「月次減税事務」について紹介していきます。

給与所得者に対する定額減税制度は、大きく、令和6年6月から対応を行う必要がある「月次減税事務」と同年11月ごろに行う「年調減税事務」の2種類に分かれます。これを図示すると下記のとおりとなります。

国税庁ウェブサイトhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0023012-317.pdf

 

このうち、「月次減税事務」については、令和6年6月以後の給与等に対する源泉徴収税額から定額減税額を控除することとなります。そして、注目すべきは、令和6年6月1日現在、旧与党の源泉徴収において源泉徴収税額表の甲欄が適用される居住者の人(その給与の支払者に扶養控除等申告書を提出している居住者の人)が対象となり、これを「基準日在職者」と呼んでいます。定額減税制度について合計所得金額1,805万円超は対象となりませんが、月次減税事務においては、「基準日在職者」にすれば、仮に合計所得金額が1,805万円を超える見込みがあっても、該当一旦控除対象となることに留意する必要があります。さらに、「基準日在職者」に該当しない場合は、「月次減税事務」の対象とならないため、令和6年6月1日よりも前に既に退職している場合や同日後に入社した給与所得者についても対象となりません。

「基準日在職者」に該当していても、その後、その給与所得者が退職した場合には、「月次減税事務」は打ち切りとなり、全て「年調減税事務」で対応することとなります。

ここで問題となるのが、いくらを控除していくかとなるかという点であります。

国税分としての定額減税額は、次の金額の合計額であるが、その合計額がその人の「令和6年分の所得税額」を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。

   本人(居住者に限る。) 30,000

   同一生計配偶者又は扶養親族(いずれも居住者に限ります。) 1人につき 30,000

このうち、同一生計配偶者と扶養親族の定義が、通常の所得税における配偶者控除(配偶者特別控除)や扶養控除と定義が異なる点に留意する必要があります。扶養親族については、16歳未満の扶養親族も対象となります。同一生計配偶者については、下記図のとおりとなります。

国税庁ウェブサイトhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0023012-317.pdf

 

注目頂きたいのは、配偶者の合計所得金額が48万円以下であれば、仮に本人(所得者)の合計所得金額が900万円を超える場合であっても定額減税額の計算に含めるという点であります。この配偶者と扶養親族の人数の把握を給与所得者一人一人行う必要があります。

そして、これらの同一生計配偶者や扶養親族を対象とする場合には、「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」を控除対象者から提出を受ける必要がある。この「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」は以下のようなものとなります。

国税庁ウェブサイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/teigaku/pdf/0024002-044_01.pdf

 

給与所得者の定額減税制度のうち「月次減税事務」は6月からの開始ではあるが、これらの同一生計配偶者や扶養親族の把握や「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」の提出事務などを考慮すると、本文執筆時点である令和6年4月から準備を進めておくことが肝要であります。